研究課題
近年、学習指導要領に放射線教育が導入されたことで小中学校での放射線防護に関する実験の重要度が増してきている。しかし、小中学校では、サーベイメータ―やガイガーカウンター、放射線源やその鉛格納容器を購入することは現実的ではない。また、教員の中には放射線源の管理や取扱いに苦手な意識を持つ教員も少なくない。一方で、放射線防護教育の観点から逆二乗則や高密度物体による遮蔽を指導する実験を体験することは不可欠なものでもある。そこで、本研究では、放射線源と放射線検出器の実物を使わずに試行性のある放射線遮蔽実験を可能にする実験ツールを開発し、その教育効果を評価することを目的とした。従来の本研究室の放射線教育教材の2つの本質的な課題を解決するために、本研究では、システムの発想を大きく変更することとした。①モンテカルロ計算による計算を行わず、近似計算を用いてステージ上の線量分布をリアルタイムに計算し、模擬サーベイメータにステージ上の任意の位置での線量情報を表示させる。②材質の異なる複数の遮蔽ブロックの各位置を求めるのに、ARマーカを使わず、画像処理で遮蔽ブロックの映像を2値化し、遮蔽材や模擬サーベイメータ―の「形状」で材質とブロックの位置を求めることとした。このようにすることで、模擬サーベイメータ―をステージ上の任意の位置に移動させたり、また遮蔽材を移動させたりしてもリアルタイムに周囲のフィールドをリアルタイムに計算することができるようになった点に本研究の新規性がある。
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