研究課題/領域番号 |
17K01011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 朋子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (50436119)
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研究分担者 |
本郷 一夫 東北大学, 教育学研究科, 教授 (30173652)
菊谷 昌浩 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (80361111)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒト遺伝学リテラシー |
研究実績の概要 |
遺伝子研究の成果が医療に活用されるゲノム医療が急速に発展している昨今において、その医療の受け手である一般市民のヒト遺伝学リテラシー向上は急務な課題と考える。初等教育時代にヒト遺伝学に興味を持てれば、遺伝リテラシ―を持ちながら成人期へと成長するため、社会全体の遺伝リテラシ―向上へ貢献できると考える。本研究では、普及効果と教育効果が高いことが予測されるICT(情報通信技術)を活用した小学生向けのヒト遺伝学教育ツールを、教授方法と手段を検証しながら完成させ、広く公表し、ヒト遺伝学教育教材としての有用性を継続的に評価していくことを目的とする。 初年度である2017年度は、ICTを活用した小学生向けのヒト遺伝学ツール作成の前段階として、紙媒体の「小学生向けヒト遺伝学教育ツール」を制作した。4つのヒト遺伝学に関するテーマ(①生き物と遺伝子の数、②DNA、③セントラルドグマ、④体質)について、遊びの要素(ちがいさがしとシール貼)や絵本の要素を取り入れながら伝える内容としたワークブック「親子でまなぼ!!遺伝子るんるん学び帳 シリーズ①」を研究代表者の所属機関内にあるゲノム医学普及啓発研究部門メンバー(ゲノム解析やサイエンスコミュニケーションの専門家)の協力を得て制作、発行した。研究代表者の所属機関を訪れる小学生や科学イベント(JST主催のサイエンスアゴラ2017)に参加した小学生や学術集会に参加したヒト遺伝学リテラシー向上を目的に活動している研究開発者へ、上記ワークブックを配付(合計約1000部)することにより、成果物を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2017年度の研究実施計画は、中核メンバー(研究代表者と研究分担者と研究協力者)が、紙媒体の「小学生向けヒト遺伝学教育ツール」を制作することであったため、ワークブック「親子でまなぼ!!遺伝子るんるん学び帳 シリーズ①」を制作、発行することができていることから、進捗状況としては(2)おおむね順調に進展している。 しかし、順調に進展しているとは言えない部分もある。2017年度に制作、発行したワークブックで扱っているテーマは4つであり、研究実施計画ではテーマ10個を盛り込む予定だったところを、内容を少なくして仕上げることになった。また、上記ワークブック制作に当たって、研究代表者の所属機関内にあるゲノム医学普及啓発研究部門メンバー(ゲノム解析や広報の専門家)での協議はできたが、宮城県内の小学校の理科を専門に担当する専科教員との協議はできずに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ヒト遺伝学教育ツールとして2017年度に制作したワークブック「親子でまなぼ!!遺伝子るんるん学び帳 シリーズ①」では扱えていないテーマを盛り込んだ「親子でまなぼ!!遺伝子るんるん学び帳 シリーズ②」を制作、発行する。研究協力が得られる宮城県内の小学校でワークブック2冊を使用してもらい、ワークブック活用前後でヒト遺伝学の知識を評価する問題50題に解答してもらう。成人のヒト遺伝学リテラシーを測定する尺度として世界的に使用されている16問の問題(Haga SB et al. Genet Test Mol Biomarkers, 2013)を参考に、小学生向け文書に改変したヒト遺伝学の知識を評価する問題50題を制作し使用する。信頼性の高い問題を25題程選択し、小児のヒト遺伝学リテラシーを測定する評価問題とする。ヒト遺伝学の知識を評価する信頼性の高い問題を統計学的に選択するために、200名以上の小学生に参加頂く。 (2)紙媒体から電子媒体のICTを活用したツール(ゲーム形式)へ発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は、ワークブック「親子であそぼ!!遺伝子るんるん学び帳 シリーズ①」の発行経費を当初の予定よりも抑えることができたため。次年度使用額は、紙媒体から電子媒体のICTを活用したツール(ゲーム形式)へ発展させるために使用する予定。
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