放置竹林を題材とした循環型環境教育プログラムの開発という目的のもと、研究期間全体を通じて、①竹の利用法のデータ収集、②環境教育プログラムの試作版作成、③環境教育プログラムの実践と教材制作の3つの目標を掲げて研究活動を行った。 主に初年度は①と②、2年目は②と③、最終年度は③を中心に研究を進めた。①に関しては、当初はデータベース作成を目指していたが、国内外の竹利用事例が膨大な数に上ること、そうした事例の中には、必ずしも環境教育プログラムの開発に直結しないと考えられるものも少なくなかったため、結果的にはデータベースの作成には至らなかった。しかし収集した利用事例のうちから、宮城県内および周辺地域での事例で、かつ学校教育への展開の可能性が高い活動に焦点を絞り、②に相当する環境教育プログラムの7開発を試みた。具体的には、宮城県の竹林利用と深く関わる養殖水産業での竹材利用とその廃材の活用(西城)、竹素材の調理への利用(亀井)、竹の加工材としての特性把握および工作(安孫子)である(カッコ内は主たる担当者)。その結果、学校教育でも実施可能な簡易炭焼き法、竹材による箸・容器の制作と竹容器を利用したレシピ、竹材加工による遊具制作などのプログラム開発を行うことができた。続いて③の研究活動として、大学の授業、一般向け公開講座、高等学校への出前授業を行った。またこうした実践に関連して、その方法を簡単にまとめた教材(活動プログラムや実施マニュアル)も作成した(一部未完)。さらに以上の研究に関わる副産物的成果として、竹廃材燃焼時のダイオキシン類発生の有無、竹の加工材としての特性把握といった、環境教育実践に当たっての基礎的なデータを収集することができた。
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