研究課題/領域番号 |
17K01017
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
金子 康子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30194921)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 植物細胞 / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
新しい生物電子顕微鏡技術により得られた画像を用いて、さまざまな植物組織のつくりとはたらきの理解を促すことのできる教材画像集を作成することを目指している。 昨年度検討を進めた白黒の電子顕微鏡画像に光学顕微鏡画像から得た自然な色を重ねる方法により、植物細胞の特徴を分かりやすく示す画像を作成した。光合成を活発に行う葉肉細胞の形と並び方、また、細胞内表面に葉緑体が並び、細胞中央部を巨大な液胞が占める様子を捉えることのできる画像を、新しい低温低真空走査電子顕微鏡により取得した。この電子顕微鏡画像に光学顕微鏡から取得した色を重ねることにより、葉緑体の形と配置が格段と分かりやすくなった。葉緑体の間に位置する葉緑体よりはるかに小さいミトコンドリアや、細胞中央を占める液胞、各細胞に1個存在する核なども含まれた、より正確な植物細胞像を提示することができた。作成した画像を学会やワークショップで紹介したところ各方面から高評価を得た。 また昨年度に開始した電子顕微鏡画像を立体的に表現する方法を継続して検討した。さまざまなレンチキュラーレンズと画像の組み合わせを検討したところ、特殊な器具や技術を用いることなく誰でも容易に電子顕微鏡画像を立体視することが可能となった。自然な色を着色した電子顕微鏡画像を用いることにより、電子顕微鏡で見ることのできるミクロの世界をより魅力的な形で紹介することができるようになった。レンチキュラーレンズを用いた立体画像も学会やワークショップで紹介したところ、多くの方に興味を持ってもらうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい電子顕微鏡観察技術と白黒の電子顕微鏡画像に自然な色を着色する技術を組み合わせて、光合成を行う葉の組織と葉肉細胞のつくりを分かりやすく伝えることのできる画像を作成することができた。多くの現行の教科書で紹介されている植物細胞の模式図を比べて、光合成を行う葉緑体の形と配置、葉肉細胞の形と並び方から、そのはたらきを考えることのできる画像となった。 異なる角度から撮影した複数の電子顕微鏡画像とレンチキュラーレンズを重ねた立体視の方法もより精度が高まり、肉眼では見ることのできない植物のミクロの世界を迫力のある立体像として捉えることができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに取得した電子顕微鏡画像に自然な色を着色する作業を進めるとともに、さらに植物のはたらきを示すことのできる分かりやすい電子顕微鏡画像の取得を進めたい。これらをテーマごとにまとめて画像集の作成に着手する。 レンチキュラーレンズと自然な色を着色した電子顕微鏡画像を組み合わせた植物のミクロの世界を立体的に紹介する画像集の作成も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿した論文の雑誌掲載が予定より遅れ、論文別刷り代などの支払いが次年度に持ち越しとなったため。論文別刷り代やカラー画像代として用いる。
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