研究課題/領域番号 |
17K01018
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
中島 雅子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80758342)
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研究分担者 |
堀 哲夫 山梨大学, 教育学研究科, 教授 (30145106)
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30292634)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | OPPA論 / 理科教育 / 教育評価 / 学習・授業改善 / 自己評価 / OPPシート / 教師の資質・能力育成 / 概念の形成過程 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、主に、自己評価による学習・授業改善において重視すべき要素とその構造を解明することに取り組んだ。具体的には、次の3点である。 (1)自己評価を授業改善に活用する際の課題の整理:国内外の研究と実践の成果を整理した。まずは、日本の理科教育における授業改善の実際と自己評価の現状についての調査。さらに、論文などの整理による国外の先進事例、たとえば、英国のARG(Assessment Reform Group)における自己評価の実践事例による成果などを検討した。 (2)OPPA論における3つの「問い」の機能とその効果の解明:上記をふまえ、概念の形成過程の自覚化を重視した自己評価による教師の資質・能力育成に注目し、これまでの「学習者用OPPシート」に加え「教師用OPPシート」の活用方法を提案し、授業改善におけるその効果を検討した。さらに、これらを活用した校内研の在り方についても検討を行った。これらは、埼玉県、山梨県、東京都の小・中・高等学校で実践を行い検証した。 (3)フィンランド、エストニアにおける理科教育の実態調査:フィンランドとエストニアの理科教育における自己評価に関する取り組みについて現地調査を行った。 以上については、「第2回OPPA研修会」を開催し、その成果を発表すると同時に、ワークショップ形式でそれらを検証した。また、小・中・高等学校、教員養成系大学においてOPPA論における自己評価の機能と効果に関する招待講演を行い、日本教育方法学会、日本理科教育学会、日本教科教育学会などにおいても、これらの研究成果をふまえた学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は、学習・授業改善における自己評価の機能とその効果をOPPA論の「問い」の効果を中心に明らかにするものである。初等中等教育段階における学習者に育成すべき資質・能力とは何かを明らかにすると同時に、授業改善に必要な教師の資質・能力の育成について、そこで必要な要素とその構造について検討し「教師用OPPシート」の活用方法について、具体的な授業を提案した。 予定通り、「第2回OPPA研修会」を開催し、そこではOPPシートの問いの効果の検証を行うと同時に、国内における先進事例についての資料収集を行うことができた。 さらに、当初は予定していなかったフィンランドとエストニアの理科教育における自己評価について、現地の研究者の協力を得て、調査することができた。 これらの成果をふまえ、次年度に向けての取り組みを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成29年度の研究を引き継ぎ、「第3回 OPPA研修会」を開催し、OPPA論を事例として「自己評価」における「問い」の機能と効果について、検証を進める。また、フィンランド、エストニアにおける自己評価の実際について、さらに調査・分析を重ねる。以上より、授業改善における自己評価の意義を解明する。
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