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2018 年度 実施状況報告書

ビッグサイエンスの地域社会コミュニケーションの設計

研究課題

研究課題/領域番号 17K01020
研究機関東京大学

研究代表者

横山 広美  東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (50401708)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード科学コミュニケーション / 大型科学 / 政策決定
研究実績の概要

2018年度は、国際リニアコライダー(ILC)誘致の進捗に大きな変化のあった年であった。国際的にも大きく注目される事項であることから、この年度はILCに集中して研究を進めた。
2018年7月4日、5年近くかけて行われた文部科学省ILC有識者会議の報告書が公開された。これを受けて日本学術会議で再度の議論が行われ、12月19日に日本学術会議から文部科学省に対して、日本誘致支持には至らないとの報告が渡された。推進研究者からは3月7日までの回答期限を迫られていたが、この日、文部科学省は、現時点で誘致支持には至らず、としながらも日本学術会議の大型プロジェクトを審査するマスタープランにILCをかけるべきだという判断を公表した。こうしたニュースはNHKをはじめとする国内メディアはもちろん、海外でも興味を持たれ報じられている。
こうした動きを受け、本研究では2018年6月1日に、誘致先の岩手県一関市を訪れ、衝突点となる場所にも視察に訪れた。駅を降りたところから数多くのILC誘致を支持する旗に圧倒され、地元の誘致の期待を大きく感じた。また2018年度はILCのニュースが多く流れたが、その多くが地元誘致に関するものであり、経済波及効果がもっとも誘致活動の誘因になっている様子がうかがえた。
文科省(横山は有識者委員会メンバー)、日本学術会議の報告書調査と報道分析を進めると共に、2018年6月に2015年3月に続き2回目の認知度調査を行った。今回は科学コミュニケーションの観点から、どのような観点での議論が望ましいのか、また、誰が議論すべきなのかも含めて調査を行った。岩手県では認知度が高いのに対して、他の3つの知識では認知度は高くないことがわかった。さらに2019年3月に、門下周夫が誘致支持には至らないと公表した直後にも調査をしたが、この傾向は大きく変わらないことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初は3つのプロジェクトと、オーストラリアの研究事例をもとに進めていたが、国際リニアコライダー(ILC)に関する議論が盛り上がりを見せ、また国際的にも日本の役割が注視されることから、ILCを中心に現地視察、ウェブ調査を展開した。情勢の変化に対応しながら進んでいるので、おおむね順調に進展をしている。

今後の研究の推進方策

社会心理学による信頼のモデルを念頭に、新しいモデルの創出を検討してきたが、ILCに関すると信頼モデルの一部分、「価値共有」、特に投資額が莫大であるのでそれにともなって経済効果が大きい、という点が強い共有となっていることが予想される。そのほかの政治的要因はなく、環境問題への影響の懸念などが一部あるが、大きなイシューとはなっていない。
このような状況から、2019年度に進展があると予想される日本学術会議のマスタープラン公表に向けた審査結果に注目しながら、巨大科学というよりは巨大プロジェクトと経済効果が地域社会にとって強い支持要因となっている構造を、さらに詳細に分析をしていく。

次年度使用額が生じた理由

研究計画を順調に進めた結果である。来年度書籍を購入する予算に充てる。

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公開日: 2021-01-27  

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