研究課題/領域番号 |
17K01021
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
平島 由美子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60242377)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教員養成 / 素朴概念 / 電流 / 電圧 |
研究実績の概要 |
児童生徒にとって電流や電圧の概念を正しくとらえることは容易ではなく、電気回路に関する学習に対して苦手意識を持つ児童・生徒は少なくないと指摘されている。本研究では、学習者に強固に残る電流や電圧等に関する誤概念を調査して学習者がつまずく箇所とその理由を探り、その調査結果を活用して学習者の電流や電圧の理科を促す実験教材を開発することを目的としている。2009年から継続して取り組んできた学習者の電流・電圧の理解に関する実態調査の結果、小学校・中学校・高等学校で電気回路に関する学習が進むにつれて、電流や電圧の誤概念の種類が少なくなっていく傾向があるものの、高等学校で物理Ⅱや物理まで履修している大学生であっても、小・中学校で学んだはずの基本的知識を中途半端にしか理解していないことがわかった。「電流が負荷で消費される」、「電流は負荷から先で流れにくくなる」、「直列なら○○は常に一定(○○は電流や電圧などが入る)」、「同じ電源から流れ出る電流は常に一定」など、大学生にも強固に保持される複数の誤った概念を把握できた。また、電位差(電圧)を理解できていない、回路全体を見ず部分的に推測をする、電源電圧がどこにかかるのかを考えない大学生が多数いることもわかった。令和3年度は、これまでの実態調査結果を踏まえ、学習者の電流や電圧の理解を促す実験教材を組み合わせや順次性を引き続き検討してきたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の状況が続き、大学等での実践がほとんどできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の状況が続き、計画していた高等学校での授業、大学での実験講座やインタビュー調査、若手教員研修が実践できなかった。また、これまで継続してきた教員養成系学部生を対象とした電流・電圧理解に関する実態調査も予定していた4分の1程度しか実施できなかった。以上の理由より、事業期間延長申請をし、令和4年度での研究完成を目指すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度もこれまで継続してきた教員養成系学部生を対象とした電流・電圧理解に関する実態調査を実施する。また、学習者の電流・電圧の理解を促す複数の実験教材の組み合わせと順次性を引き続き検討する。検討した案について、学習者が電流・電圧を理解するのに役立つかどうかを教員養成系学部生(主に非理科専攻)にインタビューや実験講座等で調査し、調査結果を踏まえて教材をさらに改善する。改善した実験教材は高等学校や中学校の授業で活用し、生徒の電流・電圧の理解度の変化を評価する。高等学校や中学校との調整が難しい場合は、教員養成系学部での実験講座あるいは若手教員研修で実施して評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の状況が続き、令和3年度に計画していた高等学校での授業、大学での授業や実験講座、教員研修が実施できなかった。事業期間延長の申請を行い、これらを令和4年度に実施する予定である。そのために必要な実験教材の材料や実験器具類を購入する。また、これらを高等学校等に運ぶのに運搬費が必要となる。なお、学習指導要領改訂に伴い、新しい教科書の購入も検討している。
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