研究課題/領域番号 |
17K01023
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
山崎 貞登 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40230396)
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研究分担者 |
磯部 征尊 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70736769)
大森 康正 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80233279)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小学校プログラミング学習 / プログラミング的思考力 / 技術・情報教育課程基準 / 教員研修 / 指導者研修 / 公教育と私教育の協働 / プログラミング教材 / 学習到達目標 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究実績は,1年次報告書としてまとめ,下記URLで計122頁PDF文書を公開中である。 http://hdl.handle.net/10513/00007425 同報告書第1章では,小・中・高校を一貫して「プログラミング的思考力」を育成する技術・情報教育課程基準と,各教育段階の学習到達目標・学習到達水準を提案した。具体的には,ベネッセ(2017)が提案した,小学校プログラミングで育成する資質・能力の評価規準(試行版)と,本研究代表者・同分担者の先行研究を再検討した表を提案した。第2章では,2016年度A県K市立H小学校第6学年3クラス(計110名)「総合的な学習の時間」におけるプログラミング教育(計10授業時間)の実践研究成果をまとめた。学習者にプログラミング言語を学習させるために,ビジュアルプログラミング環境「Scratch」を用いた。指導計画,教材,学習シートの紹介と,事前・事後アンケートの結果から,学習効果を検討した。第3章では,相模女子大学小学部及び中学部におけるプログラミング教育の実践と,教材学習シートについて紹介した。レゴWeDo2.0を使ったプログラミングカリキュラムの指導計画について解説した。第4章では,公教育と私教育の協働の視点からのプログラミング教育の教員養成と指導者研修について,論考した。具体的には,プログラミング教育を行う指導者に求められる知識・技能について検討した。さらに,これらの知識・技能の修得を目的としたプログラミング教育指導者研修における,実施環境について解説した。また,現職教員及び社会人を対象とした指導者研修として実施している,プログラミング教育指導者育成講座の内容と実施方法について言及した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実績は,1年次報告書としてまとめることができたので,1年次の到達目標は,概ね達成したと思われる。 同報告書第1章では,前述したように,中・高校段階の学習系統性に配慮した,小学校段階の「プログラミング的思考力」を育成する技術・情報教育課程基準と,各教育段階の学習到達目標・学習到達水準を提案することができた。特に,ベネッセ(2017)が提案した,小学校プログラミングで育成する資質・能力の評価規準(試行版)と,本研究代表者・同分担者が先行研究で提案していた表を,小・中・高校を一貫した技術・情報教育の視点から,2017年に告示された小・中学校学習指導要領と,2018年2月に公表された,2018年告示版高等学校学習指導要領の特に普通教科「情報」の目標・内容の接続性の観点から,再検討した表を提案することができた。第3章では,全国各地の都道府県・政令指定都市教育委員会や小学校等から要望が強かった,小学校段階のプログラミング学習の指導計画,教材,学習シートとして,研究協力者の川原田が在籍する,相模女子大学小学部及び中学部におけるプログラミング教育の実践と,教材学習シートについて紹介した。WeDo2.0を使ったプログラミングカリキュラムの指導計画について解説することができた。第4章では,公教育と私教育の協働の視点からのプログラミング教育の教員養成と指導者研修について具体的に紹介できた。プログラミング教育を行う指導者に求められる知識・技能について提案した。さらに,これらの知識・技能の修得を目的としたプログラミング教育指導者研修における,実施環境について紹介することができた。また,現職教員及び社会人を対象とした指導者研修として実施している,プログラミング教育指導者育成講座の内容と実施方法について言及できた。
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今後の研究の推進方策 |
第1は,研究代表者,研究分担者,研究協力者が先行研究で平成29年度に提案した,「プログラミング的思考力」を育成する小・中・高校を一貫した技術・情報教育課程基準と,学習指導要領の目標・内容との整合性に関する検討である,平成30年3月に高校の新学習指導要領が告示になり,普通教科情報の目標と内容が公開された。また,平成29年3月告示の小・中学校学習指導要領と参照しながら,特に本研究と学習指導要領の整合性,小・中・高校の学習系統性・適時性,他教科等との関連に留意し,修正・再提案する。 第2は,小学校段階における「プログラミング的思考力」を育成する教育課程基準の学習到達目標と,学習内容の提案である。研究協力者の相模女子大学小学部副校長の川原田康文と,研究の協力により,小学校段階の教育課程基準の再検討と再提案,指導計画,学習指導案作成,教材,学習評価規準の提案を行う。 第3は,研究代表者の磯部征尊と,研究協力者の上野朝大が行っている,小・中学校におけるプログラミング学習実践の学習到達目標と学習方法,学習評価,具体的な教材の提案を行う。特に,中学校技術分野「D(2)ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」の学習項目に対する先行実践研究,教材の提案が極めて少ない現状になる。また,技術分野の第3学年で取り上げる内容では,これまでの学習を踏まえた統合的な問題について扱うことになり,灌水などの管理作業を自動的に行う栽培ロボットのモデルの開発や,生活サポートドボットのモデルなどが,同指導要領解説では例示されている。本研究では,こうした点に留意し,「プログラミング的思考力」を育成するための中学校技術分野の教材,指導計画,学習指導案,学習方法を提案していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由の第1であるが,研究協力者の川原田康文氏は,2017年8月26日(土)及び27日(日)に開催された日本産業技術教育学会全国大会(弘前)及び2017年9月1日(金)~3日(日)に開催された日本科学教育学会年会(高松)に本科研の発表を予定し,旅費を支給する予定であったが,川原田氏が公務と重なり参加できなくなったためである。理由の第2は,研究協力者の上野朝大氏の前述の日本科学教育学会年会(高松)での発表がキャンセルとなり,旅費を使用しなかったためである。 そこで,平成30年7月7日に,上越教育大学東京サテライトオフィスで,平成30年度第1回科研会議を開催するため,研究代表者及び研究分担者の旅費に充てる。また,研究協力者の川原田と上野からの専門的知識の提供を受けるための旅費と謝金に充てる。平成30年8月18日の日本科学教育学会課題研究で,本科研の研究成果発表と討議を展開するシンポジウムを開催する。さらに,8月25日から26日に開催される日本産業技術教育学会全国大会(長野)に本科研成果発表のために,研究代表者1名,研究分担者2名及び研究協力者2名の旅費に充てる。 加えて,第2年次研究成果報告書の冊子体を500部印刷し,国立大学法人附属小・中学校,各都道府県教育センター,政令指定都市及び中核都市教育センター等に郵送配付する。
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