研究課題/領域番号 |
17K01024
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
松森 靖夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40240866)
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研究分担者 |
佐々木 智謙 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10781122)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教師教育 / 理科教育 / 教員志望学生 |
研究実績の概要 |
平成31年度の目的である,仮称「小学校教員志望学生の誤概念の変容を促す理科学力診断用データベースの構成項目を作成した。その一端を下記①~③の当該学会における口頭発表や,④の学術論文として公表した。 ①中西大生,佐藤寛之,佐々木智謙,松森靖夫「小学校教員志望学生を対象としたリトマス紙の論理操作に関する認識調査」日本理科教育学会第69回全国大会(静岡大学),『日本理科教育学会全国大会発表論文集』に所収,2019.【要旨】小学校教員志望学生であっても,リトマス紙の論理操作を科学的に認識でできている者は10%程度であることが判明した。 ②塚原健将,佐々木智謙,佐藤寛之,松森靖夫「小学校教員志望学生の血液循環に対する科学的認識を目指して(その1)-学習指導方策の提案-」日本理科教育学会第69回全国大会(静岡大学),『日本理科教育学会全国大会発表論文集』に所収,2019.【要旨】血液循環に対する小学校教員志望学生の認識の向上を図るために,計6の局面からなる学習指導方策を提案した。 ③塚原健勝,佐々木智謙,佐藤寛之,松森靖夫「ヒトの血液循環に関する学修指導方策の再検討-小学校教員志望学生を対象にして-」日本理科教育学会第58回関東支部大会(山梨大学),『日本理科教育学会関東支部大会研究発表要旨集』に所収,2019.【要旨】小学校教員志望学生の科学的認識を更に向上させるような新たな学修指導方策の雛形モデルを提案した。 ④塚原健将,佐々木智謙,松森靖夫「昆虫の体のつくりに関する認識状態の分析-小学校教員志望学生・小学校現職教員を対象にして-」山梨大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要『教育実践学研究』第25号,215-225,2019.【要旨】計9種類の生き物を昆虫とそれ以外の生き物に分類できた小学校教員志望学生は約70%,小学校現職教員は約50%であったことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度の研究目的である,仮称「小学校教員志望学生の誤概念の変容を促す理科学力診断用データベース」の構成項目を作成することができた。計669の構成項目であり,その内訳は以下に示す通りである。 ●粒子の存在(4年:空気と水の性質(3),6年:燃焼の仕組み(13)),粒子の結合(6年:燃焼の仕組み(10),6年:水溶液の性質(11),粒子の保存性(3年:物と重さ(11),5年:物の溶け方(16),6年:水溶液の性質(11)),粒子のもつエネルギー(4年:金属,水,空気と温度(36)) ●エネルギーの捉え方(3年:風とゴムの力と働き(5),3年:光と音の性質(21),3年:磁石の性質(9),5年:振り子の運動(1),6年:てこの規則性(5),エネルギーの変換と保存(3年:磁石の性質(9),3年:電気の通り道(14),4年:電流の働き(9),5年:電気がつくる磁力(6),6年:電気の利用(11)),エネルギー資源の有効利用(6年:電気の利用(10)) ●生物の構造と機能(3年:身の回りの生き物(62),4年:人の体のつくりと運動(8),6年:人の体のつくりと働き(32),6年:植物の養分と水の通り道(12)),生命の連続性(3年:身の回りの生き物(60),4年:季節と生物(44),5年:植物の発芽,成長,結実(15),6年:動物の成長(11)),生物と環境の関わり(3年:身の回りの生き物,4年:季節と生き物(43),6年:生物と環境(48)) ●地球の内部と地表面の変動(4年:雨水の行方と地面の様子(3),5年:流れる水の働きと土地の変化(2)6年:土地のつくりと変化(20)),地球の大気と水の循環(3年:太陽と地面の様子(5),4年:天気の様子(17),5年:天気の変化(22)),地球と太陽の運動(3年:太陽と地面の様子(3),4年:月と星(31),6年:月と太陽(20))
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の研究の目的であった仮称「小学校教員志望学生の誤概念の変容を促す理科学力診断用データベース」の構成項目であるが,概ね順調に作成することができたが,構成項目数や内容等に若干の偏りがあった。そのため,引き続き,小学校教員志望学生が保持する誤認識の調査を遂行して,構成項目数や内容等の調整を図っていく。この問題解決も含め,以下に示す令和2年度の研究目的の達成を目指して,研究を遂行していく予定である。 【令和2年度】最終年度においては,平成31年度に作成したデーターベースの構成項目数や内容等の調整を図るとともに,実際的運用を行う。また,本データベースは,4つのカテゴリー(①粒子概念,②エネルギー概念,③生命概念,及び④地球概念)からなるため,各カテゴリー別の運用も試みる。並行して,本データベースの利用前後の小学校教員志望学生の変容様態についても把握し,分析を加える。具体的には,山梨大学を中心にした教員養成学部における実際の運用→データベースに取り組む前後の小学校教員志望学生の変容様態の把握→データベースの有効性の評価と分析,という一連の計画に沿い研究を進める。また,データベースの最終版は,紙媒体のデータベースとして冊子化する予定である。
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