持続可能社会に向けた外来生物の教材開発

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 17K01038
• 研究機関: 琉球大学
• 研究代表者: 比嘉 俊 琉球大学, 教育学研究科, 准教授 (30780390)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 外来生物 / 持続可能社会 / 学校教育

研究実績の概要

持続可能社会に向けた学校教育として，外来生物の教材開発とその実践を本研究の目的としている。しかし，コロナ禍により，学校での授業実践に大きな制限がかかった。その結果，授業実践は中学校で１度しか行えず，そこでの受講者データは少ない。また，都内での資料収集施設の使用や関係団体との交流にも大きな影響があり，研究活動をかなり縮小した。
その中，令和３年度の実績として，研究成果の一部を中学校理科教科書（東京書籍）に執筆し，その教科書が学校現場で令和３年から使用されている。教科書のみならず，教師用指導書にも外来生物を授業で扱う内容を記載した。また，沖縄県環境化学センターと外来生物に関するリーフレットの検討を行い，学校教育での検討を協同で進め，中学校の総合的な学習の時間に実際に試した。
実践報告の論文を精査していくと，外来生物を教材とした実践の殆どは，外来生物の定義や種，その影響の学習を目的としたものである。理科学習の範疇から広がっている実践報告はかなり少ない。これからの社会を考えると，ESDやSDGsに向けた外来生物教材の活用が求められると考える。人間活動による生物の移動や，外来生物と生物多様性についての教育を視野に入れる必要がある。
令和２年に小学校，令和３年に中学校で学習指導要領（平成29年告示）が全面実施された，この全面実施にともない，学校で使用される教科書も新しくなった。新しい小学校理科の検定教科書において，外来生物の説明を減らしている（または無くしている）教科書も確認できた。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和２年度より，「やや遅れている」の進捗状況で，それ以前は「おおむね順調に進展している」であった。コロナの感染拡大により，学校現場の休校や分散登校，さらに，外部からの授業実践へ大きな制約が入ったためである。その結果，外来生物教材を受講した児童生徒のデータがあまり採れていない。また，都内の国会図書館や大学図書館にも入館が制限され，文献研究も進んでいない。

今後の研究の推進方策

令和４年度は助成期間の最終年度となるため，報告書を作成し，これを県内の小中学校への配布を計画している。
成果発表としては，外来生物教材としての可能性を学会発表と査読論文としての投稿を予定している。令和４年度の新たな方向性としては，外来生物からSDGsへの可能性を提言する。

次年度使用額が生じた理由

使用額が生じた理由は，コロナにより学校での教育活動に制限が入り，授業実践とそれを受けてのデータが取れなかったこと。研究結果のデータが脆弱なため，報告書の製本を先送りにしたこと。
上記の使用額を令和４年度に，・都内での資料収集旅費（大学図書館・国会図書館での論文収集），・報告書製本代，・報告書郵送代　に使用する計画。