本研究は、2017年度から3年間の予定で開始されたが、二度の研究延長を経て、最終的に5年間実施された。 1年目は、必要な機材を整備するとともに、保健医療福祉学部の学生を対象とする教養科目:「数理科学」の授業において、立体の形状を対称性によって表現する方法を学習するための新たな授業プログラムを開発した。 2年目は、1年目に実施した授業に基づき、授業プログラムの改善を行い、作業仮説:「体性感覚(触覚)による体験を授業プログラムの導入とすることで、対称性(シンメトリー)などのより高度な学修を円滑に進める事が出来る。」を設定した。 本研究の最終年度の3年目は、2年間の授業実践から得られた新たな授業プログラムを用いて、作業仮説を検証することを予定していたが、「数理科学」の受講生が1名であったため、信頼できる結論を得るにはデータが不足すると判断して、研究データの蓄を目的に1年間の研究延長を行った。 延長1年目の2020年度は、年度当初から新型コロナウィルス感染拡大により対面授業の実施が困難となり、遠隔地Web授業のための教育プログラムを急遽開発して、授業プログラムを変更することとした。また、研究対象を保健医療福祉学部の学生の他、高校生へと広げて公開講座を開催して作業仮説の一般化と検証を試みることにした。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大が繰り返し、2020年度は公開講座を遠隔地Web授業で1回実施するに止まった。このため、さらに1年間の研究延長を申請することになった。 延長2年目の2021年度も教育プログラムの開発と作業仮説の一般化を計画したが、新型コロナウィルスの新たな感染拡大のため、継続的に教育プログラムを実施できず、公開講座も対面形式では開催できなかった。また、研究者が定年退職を迎えることもあり、最終的に、大学生を対象として得られた作業仮説を設定した段階で本研究を終了することとした。
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