研究課題/領域番号 |
17K01041
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研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
横山 光 北翔大学, 教育文化学部, 准教授 (70733707)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 火山防災教育 / 減災教育 / 火山系ジオパーク / 観察・実験 / 火山ツアーガイド |
研究実績の概要 |
2017年度に引き続き、火山防災教育の実態把握と、地域一体型の火山防災教育プログラムや火山防災に関する教材開発を目的として、次の3つの視点での研究活動を実施した。 1.ジオパークと火山防災に関するヒアリング調査:伊豆大島ジオパーク、桜島・錦江湾ジオパーク、霧島ジオパークでは、火山防災の取り組みに関する聞き取り調査および現地調査を行った。火山防災に携わる行政職員、ジオパーク担当職員、防災教育に携わるガイド等から、「ジオパークにおける火山防災に関する教育普及活動の現状」、「子供や市民を対象に行っている火山防災教育の実際」、「ジオパークが火山防災のために貢献できる今後の活動への期待」などについて聞き取り調査を行った。特に霧島ジオパークにおいては、噴火警戒レベルの引き上げに伴う観光への影響などについてヒアリングした。 2.実験教材やツアープログラムの普及:の普及洞爺湖有珠山ジオパークでは、一般市民の火山についての理解を促進する火山実験の講習会を、現地の火山防災リーダでもある洞爺湖有珠火山マイスターを対象に行った。また、南イタリアのストロンボリ火山及びエトナ火山において、火山について学ぶフィールドツアーについて現地調査を行った。そして洞爺湖有珠山地域のガイド事業者と連携し、イタリアにおける火山ツアーを参考にした、噴火災害跡を見学するジオ・ツアープログラムを立案し、実施・検証を行った。 3. 研究成果の中間報告:昨年開発した「噴火形態比較 ゲーム(火山くじ)」をナポリで開催された国際会議(Cities on Volcano 2018)にて、また、あらたに開発した「パホイホイ溶岩をフィールドでつくる実験方法」を日本火山学会にてそれぞれポスター発表し、参加者と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジオパークと火山防災については、若干予定より少ない数の調査地域となった。しかし、実際に噴火警報レベルが高い活火山地域を訪れ、現状を聞き取り、屋外でも調査を実施することができた。2017年度の段階から、それぞれの地域により、ジオパークができる火山防災への関わり方が違うといった傾向はあったが、そのことを裏付けるデータがとれると共に、平時にジオパークに期待されている役割はほぼ共通であることが見えてきた。火山防災教育の教材についても、洞爺湖地域で研修会を開くことができ、次年度以降企画していく子ども向けの防災イベントの基礎を整えることができた。さらに、イタリアの活火山で実施されている火山ツアーを参考に、有珠山における火山ツアーのプログラムを立案・検証できた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、活火山を有するジオパークへの聞き取り調査を行うが、火山実験や火山ツアーを題材とした2020年度実施予定の火山防災イベントの企画立案に重点を置く。 聞き取り調査地域はジオパークとして火山防災教育に力を入れている、磐梯山ジオパーク、島原半島ジオパークを候補とする。海外の活火山地域における、火山防災教育についての視察も引き続き行う。2018年の噴火で大きな被害を受けたハワイ島南東部の視察及び火山防災の取り組みと噴火終了後の観光復興の取り組みについて現地調査する。さらに減災教育に活用できるあらたな火山実験を開発するとともに、フィールドを活用した火山ツアープログラムを企画・実施・検証する。これらの調査結果をもとに、子どもや観光客を対象にした火山防災イベントの大枠と実施プログラムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究では、当初予定していた機材を使用せずに安価に教材を開発することができた。次年度は本年開発を予定していた実際の岩石を用いた教材や、地形モデル等を使った教材の開発を予定しているため、引き続き本年度整備しなかった岩石切断機及び研磨機等の購入を計画している。
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