研究課題/領域番号 |
17K01048
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
加藤 美由紀 川村学園女子大学, 教育学部, 准教授 (70706829)
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研究分担者 |
倉本 宣 明治大学, 農学部, 専任教授 (60287886)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生物多様性保全 / 小学校 / 植物図鑑 / 中学校 / 外来植物 / オーストラリア / イギリス |
研究実績の概要 |
小・中学校での生物多様性保全に関する学習内容は、外来種に対する問題意識を啓発しているものの、充分ではないのが現状である。このことを踏まえて、未就学児から初等・中等教育への接続性を意識した生物多様性保全教育を提案することを目的とした調査研究を継続している。平成30年度は、サイズ分布を調べたハルシャギクについて、近縁のオオキンケイギクとともに市街地と河川敷における分布を調査し、分布が一年草と多年草という生活史と対応していることをみいだした。また、前年度に調査した校内の植生調査をもとに、小中学校の教材作成について検討した。小学校の生物多様性保全の教材については、前年度に作成した身の回りの植物図鑑をもとに、秋と冬の植物図鑑を用いた生物多様性保全のアクティビティを実施した。中学校の生物多様性保全の教材については、前年度1年間行った校内の植生調査をもとに、中学校理科における外来植物の教材化について、日本環境教育学会年次大会で発表し、多摩川河原の植物を含めて、継続して教材開発を検討している。 また、生物多様性保全についての記載が日本より早期にみられるオーストラリアの小中学校の視察を行った。2018年8月にPoint-Cook P-9CollegeとSt Albans Secondary College及びメルボルン博物館を視察し、分析を継続している。ビクトリア州の小学校科学生物分野のカリキュラムとPrimary Connectionsの小学校科学生物分野の教材について調査し、小学校科学生物分野では、共通性よりも多様性に関する内容が多いことを雑誌論文に報告した。英国の幼児や日本の学生の環境学習について観察や教材研究によって検討し、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に得られた結果を基にして、就学前・小学校・中学校の生物多様性保全に関する教材開発と普及を行った。小学校の生物多様性保全の教材については、前年度に作成した身の回りの植物図鑑をもとに、9月と11月の植物図鑑を用いた生物多様性保全の普及教育活動を実践し、調査結果の分析を進めている。また、前年度に児童館で行った紙芝居とパンフレットによる生物多様性保全に関する普及教育活動についての調査結果を分析した。中学校の生物多様性保全の教材については、前年度1年間行った校内の植生調査を、日本環境教育学会年次大会で発表し、継続して教材開発を検討している。 生物多様性保全についての記載が日本より早期にみられるオーストラリアの小中学校の学習内容については、小中学校と博物館の視察を行い、その一部を雑誌論文に報告した。オーストラリアの小中学校の学習内容による示唆も含めた、日本の小中学校の生物多様性保全教育の教材作成について、おおむね順調に進展していると考える
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の計画として、平成29、30年度に得られた結果を基にして、就学前・小学校・中学校の生物多様性保全に関する教材開発と普及を行い、研究発表を行っていく。 定期的な草刈によって維持されている古くからの法面の植生には 貴重な在来種が含まれているので、季節変化を調査し、生物多様性の保全と人間活動についての教材を作成する。 中学校の教材については、平成30年度の学会発表を基に教材開発を進め、小学校の教材開発については、平成30年度に行った身の回りの公園の植物図鑑を用いた生物多様性保全に関する普及教育活動について成果を雑誌論文に報告する。また、都市の中で人と共存しているアブラコウモリについて、コウモリの超音波を聞こえるようにするバットディテクターを使用した小学生対象の解説プログラムと大学生対象のセルフガイドプログラムを実施する。 就学前の子どもたちへの生物多様性保全に関する普及活動については、引き続き、実施させて頂ける場を求めながら、パンフレットや紙芝居の内容を用いて、子どもたちへの生物多様性保全教育を継続することを計画している。 オーストラリアの小中学校での視察報告と教科書や教材分析について、日本の小中学校での生物多様性保全の授業内容に付加できるものを検討しながら、生物多様性を保全する際の生物多様性概念を整理し、教科書の多様性概念などと比較し、就学前・小学校・中学校の生物多様性保全に関する教材開発と普及教育活動についての成果を纏める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注していた物品の納品が遅れたため
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