研究課題/領域番号 |
17K01056
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研究機関 | 西日本工業大学 |
研究代表者 |
高藤 圭一郎 西日本工業大学, 工学部, 教授 (10461485)
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研究分担者 |
白山 晋 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10322067)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 流体実験 / ポータブル実験装置 / PBL教育 / 可視化 / 視線計測 / 3Dプリンター |
研究実績の概要 |
工学教育においてCAE の果たす役割が大きくなっている.我々も竹とんぼを題材としたPBL 教育においてCAEを利用している.結果が簡単に得られ,CAEの教育効果は高いといえる.しかし一方で,実世界との乖離が大きな問題になっている.我々は,この乖離を埋めるため,実際に竹とんぼを作らせ,どのような飛行結果になるかを調べさせ,CAE 結果との比較を加えるという方法を試みている.この中で,流れの可視化実験を加えると,流体現象に興味を示すようになり,基礎力の向上につながる可能性が見出された.また,実験を簡易的に実施できることが学習効果を高める上で鍵となることがわかってきた.そこで,簡易的に,安価に,安全に実施できる流れの可視化,および計測法から構成される「ポータブル流体実験室」の構築を,①安全かつ明瞭なシート光生成装置とトレーサー発生装置の開発,②小型,かつ安定性の高い回転装置の開発,③乱れの少ないポータブル風洞の開発,④実験の見方の教示手法の開発という4つのサブテーマに従って,進めている. H29年度は,①では回転方式複数光源によるシート光生成装置の改良を試み,従来のものよりも視認性が高く,教室内の運用でも安全な装置を,3Dプリンターを用いて製作した.②では我々が開発した竹とんぼの発射台を小型化し,回転装置として転用した.また,この装置と①を用いて,特別な設備の無い教室でも回転飛翔体まわりの流れの可視化ができることを示した.③では概念設計を試みた.④では視線計測によって3次元の見方を分析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した4つのサブテーマ:①安全かつ明瞭なシート光生成装置,およびトレーサー発生装置の開発,②小型,かつ安定性高い回転装置の開発,③乱れの少ないポータブル風洞の開発,④実験の見方の教示手法の開発に関して,それぞれ当初の予定通りに進んでいる.おおむね順調に進展している理由は以下の通りである. 安全かつ明瞭なシート光生成装置の基本的な開発は終了し,利用できることが示された.またトレーサー発生装置については,試作を行い,基本原理の確認ができた.安定した動作を実現する方法の検討段階に達している.回転装置については,試作機を用いた実験結果から問題点を抽出でき,改善方法が明確になった.乱れの少ないポータブル風洞については初期構造の検討が終わっている.実験の見方の教示手法については,いくつかの重要なポイントが明らかになっている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,設定した4つのサブテーマについて,研究を遂行する.①に関しては,トレーサー発生装置に加え,表面タフト,およびタフトグリッドの効率的な作成法について検討する.②では,回転精度と解放時に問題があることから,精度向上のための部分的な設計変更と製作材料の再検討を行う.③では,乱れの少ないポータブル風洞の試作を行い,問題点の抽出を行う.④では,視線計測で得られた結果の分析から,実験の見方の教示手法を継続して検討する.
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