研究課題/領域番号 |
17K01058
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堀 桂太郎 明石工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (80342525)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 工業教育 / 教材開発 / ディジタル技術 / ディジタル信号処理 / ディジタルラジオ / エンジニアリングデザイン |
研究実績の概要 |
本研究の初年度である平成29年度は,「ディジタル技術教育に関する現状の調査と分析」を実施した.その結果,大学や高専などで使用されているディジタル信号処理技術を学ぶ各種の教材は,扱う技術的なレベルが高いため,入門者である学生向けの教材として難易度が高いものが多いことがわかった. このため,平成30年度に計画していた,「ディジタル技術教育プログラムの開発」としては,ディジタル信号処理技術を用いた簡易なディジタルラジオを教材として扱うこととし,その主要機能に焦点を絞って,機能ごとに動作原理などを学習できる教材を開発することとした.ディジタルラジオという全体像を意識しながら,その中の各機能を機能単位で学ぶことで,入門者である学生にも理解することが容易なレベル設定とすることができる.扱う主要機能は,ディジタル通信に欠かすことのできない,ディジタルフィルタ回路とディジタル方式の変調回路及び,復調回路とした.これらのディジタル信号処理回路をアナログ信号処理回路と対比しながら学ぶことで,回路構成,動作原理,特徴の違いなどを深く理解できる教材の開発を目標とした. これらの機能について,パーソナルコンピュータ上で視覚的なシミュレーションなどを実行しながら学べる教材を開発した.そして,「開発したディジタル技術教育プログラムの実践」として,開発した教材を学生らに使用してもらい,教材の有効性を確認し,改良すべき項目について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに,「ディジタル技術教育に関する現状の調査と分析」として,工業高校,高専,大学などで実施されているディジタル技術教育に関するカリキュラムや教授法,使用されている教材についての調査を行った.また,平成30年度は ,「ディジタル技術教育プログラムの開発」の一環として,ディジタルフィルタ回路,ディジタル方式の振幅変調回路及び,振幅復調回路について学べる教材を開発した. ディジタルフィルタ回路用の教材は,パーソナルコンピュータ上で視覚的なシミュレーションを実行しながら学べる仕様とした.また,ディジタル方式の変調回路及び,復調回路用の教材は,最も基本となる振幅変調回路と振幅復調回路を扱うこととし,パーソナルコンピュータ上で処理を実行しながら学べる仕様とした.この教材は,学習者が興味を持って学べるように,実際の音声データをディジタル方式で振幅変調してから振幅復調するまでの過程を視覚的に確認しながら学べる構成とした.このため,変調前と復調後,さらに処理過程の音声データを実際に聞き比べたり,波形として確認したりすることが可能である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでに開発したディジタルフィルタ回路とディジタル方式の変調回路及び,復調回路の教材について,より学びやすくするための改良や学習項目の追加などを行う.さらに,これと並行して,より効果的にディジタル技術を学べる新しい教材の開発を継続する.コンピュータを用いた無線通信機器の開発に使用される無線周波数の信号入出力モジュール実験装置を学生向けの教材として活用することや,学生が興味を持って学べるようにするために,簡易ロボットの制御を題材にしたディジタル技術修得のための教材などの開発に取り組んでいく予定である. そして,開発した教材を用いて,「ディジタル技術教育プログラムの実践結果の評価」,「ディジタル技術教育プログラムの改善と成果の公開」について進めていく.特に,成果の公開については,技術教育系の学会などにおいて情報発信をしていく予定である. また,これまで十分には遂行できていなかった教育機関などとの連携強化や海外の教育機関におけるディジタル技術教育に関する調査と分析について,引き続き取り組みを継続していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた海外の教育機関などにおけるディジタル技術教育に関する調査と分析を実施しなかった.また,教材開発用のコンピュータシステムなどの機種を慎重に検討するため,本年度の購入を見送ったことにより次年度繰越金が生じた.
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