研究課題/領域番号 |
17K01059
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
熊野 智之 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80435437)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 温暖化模擬実験 / カセグレン光学系 |
研究実績の概要 |
本研究で提案する温暖化模擬実験装置は,主に光源部とチャンバー部(温室効果模擬部)から構成される.光源部においてハロゲン光源からの光を凹球面鏡によって平行にし,チャンバー部において地球に模したアルミ球殻に導き,球殻温度を測定する.球殻表面および宇宙空間を模したチャンバー内壁は黒体塗料面とし,CO2ガスは装置内全体に封入する.H29年度は,装置各部の設計(試作および予備実験を含む)を行った.まず光源部には,(1)平行光の実現,(2)スペクトル分布の模擬,(3)光量の最大化の3点が求められる.(1)の観点から,当初は凹面鏡の焦点位置に細い光ファイバーを設置することを想定していた.しかし,(3)より焦点距離の小さい鏡を用いた場合,ファイバー断面を点光源とみなせないために平行光が得られないことが判明した.また,ハロゲン光源の放射スペクトルを測定したところ,800~1000nmでのエネルギーを補完することで(2)はおおよそ達成できるが,ファイバーを用いた場合には光量が大きく制限されることや近赤外ふく射が吸収されることが明らかとなった.これでは3点全てが達成できないため,新たにカセグレン光学系を利用した集熱器を提案し,その特性について光線追跡法によるシミュレーションを行った.その結果,3つの凹放物面鏡をパラメータを最適化して組み合わせることで,当初の構想よりもエネルギー密度と平行度の両面において優れた光線が得られることが示された.一方,チャンバー部においては,内壁が(1)大気層と宇宙との境界,(2)ふく射が到達する宇宙の果てという(トレードオフの関係にある)2つの役割を担うことになっていたが,新光源部を導入することで,役割を切り分けられることが可能となり,チャンバー部の構造および寸法についても設計することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温暖化模擬実験装置を開発するにあたり、各部の詳細な設計を試作や予備実験を行いながら行ったところ、当初の構想には色々と問題点があることが浮き彫りになった。そのため、装置光源部をカセグレン光学系を応用したものに変更することになり、その妥当性や最適化について事前にシミュレーションする必要が生じた。このため、シミュレーションプログラムを作成し、光学系の設計を根本からやり直すことになった。これは、申請時の計画にはなかったことであるが、結果的にはこの光源部の変更が装置全体の修正に波及し、製作の目途が立ったことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に試作機を製作するには至らなかったものの、製作に向けた設計はできており、次の段階として、実際に各部の製作を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
光源部の大幅な設計変更が必要となり、支出の内容が当初の想定と異なったことが原因であるが、次年度使用額は小額であり、大枠では順調に予算を執行できていると考えている。
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