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2017 年度 実施状況報告書

電子レンジを用いた金属加熱融解実験の教材化

研究課題

研究課題/領域番号 17K01062
研究機関大分工業高等専門学校

研究代表者

二宮 純子  大分工業高等専門学校, 一般科理系, 准教授 (60632726)

研究分担者 上野 崇寿  大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 講師 (30508867)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード光の干渉色 / 教材 / 酸化被膜
研究実績の概要

電子レンジの出力の違いによって,金属加熱融解を行うための照射時間は異なる.一般家電に使用される500W~1000Wの電子レンジを用いて,マイクロ波照射時間を系統的に変化させ昇温速度を調べたところ,加熱容器(ムライトるつぼ)は急激な温度変化に耐えられず破損しやすい.ムライトるつぼは安価で扱いやすいが熱衝撃に弱いため,耐熱るつぼ(チタン酸アルミナるつぼ)を用いた場合,昇温速度が遅くなり,合金の酸化被膜形成を観察する650℃以上にするためには加熱時間を長くする必要があった.また,急激な温度変化による衝撃をうけるため,繰り返しの使用には耐えられなかった.るつぼは消耗品であるため,安価なムライトるつぼを用いた実験方法の確立が教材開発には適当であると判断した.加熱媒体として酸化銅(Ⅱ)と炭素粉末を用いて加熱時間と昇温速度を比較検討した.加熱温度1000℃以上では酸化銅(Ⅱ)の一部が還元され酸化銅(Ⅰ)が生じることを確認した.
ターンテーブル型・フラット型などの機種の違いに応じた家庭用電子レンジの加熱ムラを調べた結果,フラット型は設置場所により加熱ムラが大きく,実験結果にばらつきが生じる原因になった.しかし,高温になった加熱装置を電子レンジ庫内から取り出す場合,フラット型では設置場所が固定されているためターンテーブル型に比べ安定しており,安全性が高い.小中高校で電子レンジを用いる場合,これらの点についても考慮する必要がある.
Sn-Zn合金の干渉色は,分光器を用いて発色している金属酸化被膜のスペクトルを測定した結果,観察される干渉色とそのスペクトル分布がほぼ一致することを確認した.今後は,Microsoft Excelを使って,金属膜の膜厚と屈折率を入力すると,観察される干渉色とそのスペクトル分布がグラフ表示される「スペクトラムシミュレータ」を作製する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

電子レンジの機種の違いによる加熱ムラと昇温速度の測定実験は、計画通りに進めることができた。今後は、急激な温度変化により容器(るつぼ)が破損しやすいため、加熱装置の改良を検討している。合金の干渉色は分光器を用いてスペクタクル分布図を試作することができた。Microsoft Excelを使って,金属膜の膜厚と屈折率を入力すると,観察される干渉色とそのスペクトル分布がグラフ表示される「スペクトラムシミュレータ」は、進行中である。

今後の研究の推進方策

家庭用電子レンジを用いた金属の加熱は、1000℃以上の高温になるため安全面に配慮した実験装置が必須である。また、試薬を入れる加熱容器は耐熱衝撃への耐久性とコスト面のバランスを考えて改良を行う予定である。
金属膜の膜厚と屈折率を入力すると,観察される干渉色とそのスペクトル分布がグラフ表示される「スペクトラムシミュレータ」作製のため、SEMを用いた金属の酸化被膜の膜厚測定を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

予想より消耗品(るつぼ)の破損が激しかったため、翌年度分として使用することとした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Sn-Zn合金上に形成される酸化皮膜を用いた光の干渉の教材化2017

    • 著者名/発表者名
      上野 崇寿、二宮 純子、高橋 徹、佐藤 秀則
    • 雑誌名

      電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)

      巻: 137 ページ: 410~415

    • DOI

      https://doi.org/10.1541/ieejfms.137.410

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Sn-Zn合金の酸化皮膜における光の干渉の教材開発2018

    • 著者名/発表者名
      平井祥紹 二宮純子 上野崇寿
    • 学会等名
      平成29年度電気学会九州支部高専研究講演会
  • [学会発表] 酸化皮膜を用いた光の干渉の教材化と電磁波学習の取り組み2017

    • 著者名/発表者名
      上野 崇寿, 二宮 純子, 高橋 徹
    • 学会等名
      九州地区高専パルスパワー放電研究会

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公開日: 2018-12-17  

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