研究課題/領域番号 |
17K01064
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
高橋 敬子 東京都市大学, 付置研究所, 研究員 (70770634)
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研究分担者 |
佐藤 真久 東京都市大学, 環境情報学部, 講師 (00360800) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気候変動教育 / 能力開発 / リーダー育成 / ESD / 学校外教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域の気候変動政策について持続可能性の視点から判断して発言する力や、地域で気候変動の活動に主体的に取り組む等、地域のリーダーとして活躍する人材育成を目指した気候変動に関する能力開発プログラムの開発を目指して実施する。研究は以下の7段階で実施する。1)日本の気候変動教育(以下、CCE)指導者育成プログラムの現状を調査し、教育的特徴及び課題を整理する。2)日本のCCE実践者のCCE能力開発プログラムの実施に関するニーズを分析する。3)海外(ドイツ、オーストリア等)の先進的なCCEプログラムの教育的特徴を整理する。4)日本と海外のCCEプログラムの比較分析により、CCE能力開発プログラムに必要な要件を抽出する。5)CCE能力開発プログラムに必要な要件及びニーズを基にプログラムを開発する。6)市民を対象に、開発したプログラムを実施し、参加者及び関係者への質問紙調査等のプログラム評価を実施する。7)プログラムの評価結果をもとにプログラムの改善を行う。 当該年度は、日本のCCE能力開発プログラムの現状調査として、地域の地球温暖化防止活動推進センターのうち、推進員の研修に力を注いでいる12のセンターを抽出し、研修プログラムの現状と課題の他、地域レベルで気候変動の問題に対応するために必要な能力・人材像について質問した。また、ドイツの研究協力者と日本の気候変動関係の研究者らと打合せを行い、気候変動に地域レベルで対応できる能力を仮定し、その習得のために必要なプログラム内容の検討を開始し、日独共同ワークショップの実施に向けた準備を開始した。海外のヒアリング調査では、オーストリアの能力開発に重点を置いた4つのプログラムの特徴や内容を調査し、その特徴をまとめた。そして、日本のESD関連研究者、気候変動関連研究者とその結果を基に意見交換し、今後の海外調査・研究の方向性の示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、1)日本の気候変動教育(以下、CCE)指導者育成プログラムの現状を調査し、教育的特徴及び課題を整理する。2)日本のCCE実践者のCCE能力開発プログラムの実施に関するニーズを分析する。3)海外(ドイツ、オーストリア等)の先進的なCCEプログラムの教育的特徴を整理する。4)日本と海外のCCEプログラムの比較分析により、CCE能力開発プログラムに必要な要件を抽出する。5)CCE能力開発プログラムに必要な要件及びニーズを基にプログラムを開発する。6)市民を対象に、開発したプログラムを実施し、参加者及び関係者への質問紙調査等のプログラム評価を実施する。7)プログラムの評価結果をもとにプログラムの改善を行う。の7つの研究方法の中から、1)、2)、3)を実施する予定であり、実際には文献調査及び実践者からの推薦によって、日本においては、地球温暖化防止活動推進員等に対する研修プログラムに重点を置いていると考えられる地域センターを12か所訪問し、研修プログラムの実態とニーズ、気候変動の問題に地域レベルで対応できる能力、人材像についてヒアリングを行った。 また、海外の先進的事例に関しては、研究代表者が過去に実施した調査結果や実践者からの推薦により、気候同盟のプログラム、ウィーン大学の持続可能なエネルギー管理プログラム、気候モデル地域マネージャーの研修プログラム、シュタイアーマルク州における適応マネージャー育成プログラム、ザルツブルグでの市民教育(SaBiNE)プログラムに関するヒアリング調査を実施し、プログラムの教育的特徴について調査した。 その他、ドイツの研究協力者とプログラム開発に関する打合せを現地で行い、地域レベルで気候変動に対応できるための能力を仮定し、それに基づいたプログラム案を作成した。来年度は、プログラム案を基に、ワークショップを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した日本でのヒアリング調査から、地域レベルで気候変動に対応できる能力やその人材像について、特定する必要性を感じた。よって、次年度は、エネルギー自給等の地域レベルにおけるボトムアップの取組が盛んなオーストリアにおいて、地域レベルで気候変動の対策を実施している地域マネージャーや適応マネージャー等、地域内をコーディネートする役割を担う人材向けの教育プログラムの特徴や内容の他、そのような人材に必要な能力や人材像に焦点を当ててヒアリング調査を実施する予定である。また、5月26日、27日にドイツの研究協力者と共同で「日独共同企画―ドイツの気候変動教育能力開発プログラム体験ワークショップ」を実施予定である。本ワークショップは、CCE実践者及び一般20名を対象とし、ドイツの能力開発プログラムを参考に、日本版にアレンジして開発した教材・プログラムを参加者に体験してもらい、参加者の事前・事後の能力の変化を評価すること、また参加者からの意見を基に、プログラムの改善を行う目的で実施するものである。本ワークショップの結果の他、日本、オーストリアのヒアリング調査結果を比較分析し、日本のCCE能力開発プログラムに必要な要素を特定し、プログラムの要素として組み込んでいく。そして、最終年度は全ての要素を組み込んだプログラムを開発する。開発したプログラムは、再度市民を対象にワークショップ形式で実施、評価を行い改善する。開発したプログラムは、各地域にある地球温暖化防止活動推進センター等に利用してもらうことを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒアリング調査の候補地を5か所から12か所に変更したため、旅費の支出が増額することを考え前倒し申請を行ったが、1つの出張で複数個所を訪問できたこと、また日帰り出張を行ったこと等により、想定していた金額よりも経費を削減できたため次年度使用額が生じた。 次年度に残った助成金は、1)オーストリアでの気候変動の地域マネジャーを対象とした研修内容の追加ヒアリング調査の実施、2)ドイツの研究協力者の招聘及び共同ワークショップの実施、3)ドイツの研究協力者及び気候変動関連研究者、教育実践者等との打合せ交通費、4)日本環境教育学会での発表等に使用する予定である。
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