研究課題/領域番号 |
17K01077
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田島 達也 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (00377615)
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研究分担者 |
齊藤 忠彦 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10313818)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 音カメラ / 発声 |
研究実績の概要 |
本研究では,これまでは聴覚情報のみで指導を行ってきた歌唱指導の場面で,音源可視化システムを用いて,声が合っている状態を視覚情報としても把握できるようにすることを目指す。平成29年度の研究は,音源可視化システムそのものに注目し,声の可視化に適している装置の検討を行うこととした。(株)熊谷組技術研究所の音源探査装置(以下,音カメラ),(株)ノイズ研究所のEPS-02S(以下,音源可視化システム),(株)ポリテックジャパンのPSV-500-Xtraスキャニング振動計(以下,スキャニング振動計)に注目した。実際に使用し,検討した結果を以下に述べる。音カメラは,5つのマイクロホンで収録した音情報を用いて音源方向を推定する装置である。リアルタイムに音圧レベル(dB)や周波数(Hz)を色や丸い図形の大きさで表示することができるので,声の計測に適している装置といえる。複数の声でも同時に計測することができるというメリットがある。音源可視化システムは,連続して発生している機械のノイズ音などを近距離から計測することができる。空間をマイクでなぞるようにして計測するので,音の発生源を特定することに優れている。声を計測することもできたが,体を固定して声を連続して出さなければならないという難しさがあった。スキャニング振動計は,音が発信している場所に向けてレーザ光を照射し,その反射光のドップラ効果(周波数シフト)で振動速度を検出する。こちらも声を計測することはできたが,体を固定して声を連続して出さなければならないという難しさがあった。音カメラを用いての実験では,二人で向き合って声を出す,二人で背を向けて声を出す,二人で横に並んで声を出す,二人で縦に並んで声を出す,という4つのパターンで測定を行った。ピッチが合っていれば,いずれのパターンでも二人の間の空間に声がつながるという現象を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,本研究で使用する音源可視化システムを実際に使用して検討することができた。(株)熊谷組技術研究所の音源探査装置(音カメラ)の他に,(株)ノイズ研究所のEPS-02Sや(株)ポリテックジャパンのPSV-500-Xtraスキャニング振動計も実験場面に応じて使用できることが明らかとなり,今後の研究の方向性が見出せた。音カメラを用いての声を合わせる瞬間をとらえる実験も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,主として(株)熊谷組技術研究所の音源探査装置(音カメラ)を使用し,声が合っている瞬間の可視化及び視覚情報としての特徴をとらえていく。たとえば,2名で声を出すとき,それぞれの声色の影響や,向き合う角度の影響などについても実験的に検討を行う。声楽の熟達者と初学者の違いについても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
<理由>視察予定だった学校の視察ができず,旅費として予定した予算が未使用金額となっている。 <使用計画>平成30年度の請求額と合算し,視察に関わる旅費にあてる予定である。
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