本研究の目的は,「1.問題修正の効果を検証したアイテムバンクの構築」「2.問題作成ガイドラインの普及・浸透」「3.テストの品質管理に資するテスト問題作成支援システムの開発」の3点である。 研究4年目(最終)の2020年度は,「2.問題作成ガイドラインの普及・浸透」の推進と,前年度に遅れが生じていた「3.テストの品質管理に資するテスト問題作成支援システムの開発」を中心に研究を進めた。 「2.問題作成ガイドラインの普及・浸透」については,2019年度に学会発表した問題作成ガイドラインの検証研究を論文化し,日本テスト学会誌に掲載した。この論文は同学会の論文賞を受賞し,年度末に開催された記念講演会で研究内容を報告した。また,問題作成ガイドラインや,ガイドラインに基づく項目修正例などの研究成果を公表・発信するプラットホームとして,これまで民間プロバイダのWebサーバを利用していたものを,研究代表者が所属する組織のWebサーバに移行し,利用者がよりアクセスしやすい環境を整えた。 「3.テストの品質管理に資するテスト問題作成支援システムの開発」については,遅れていた分析システムの検証・修正作業を完了させ,「テスト項目・解答データ分析ツール」としてWebページ上で公開した(http://www.educa.nagoya-u.ac.jp/~ishii-h/test_system.html)。このシステムは,多枝選択式問題からなるテストの回答データについて,テスト全体の得点分布・記述統計量・信頼性係数,各項目の正答率・選択枝選択率・無答率・識別力,各受検者の得点・各項目の正誤情報などを出力する。システムの公開に際して,利用マニュアルを準備するとともに,サンプルデータや,結果の解釈の仕方の解説なども加え,利用者が容易に分析を行える環境を構築した。
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