研究課題/領域番号 |
17K01083
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
平岡 斉士 熊本大学, 教授システム学研究センター, 准教授 (80456772)
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研究分担者 |
松葉 龍一 熊本大学, 教授システム学研究センター, 准教授 (40336227)
宮崎 誠 帝京大学, 理工学部, 助教 (60613065)
久保田 真一郎 熊本大学, 総合情報統括センター, 准教授 (80381143)
長岡 千香子 熊本大学, 教授システム学研究センター, 特定事業研究員 (90749839)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | eポートフォリオ / ポートフォリオ / 自律学習 / 学習環境構築 / 学習設計 |
研究実績の概要 |
利用できるeポートフォリオシステムがない学習者でも、自立的にeポートフォリオを構成して学習できるようにするため、「ポートフォリオの活用リテラシー」と「既存環境を活用してeポートフォリオを構成するスキル」の修得の支援環境を提供することを達成するために、ポートフォリオリテラシー(PFリテラシー) 修得のための指標、ならびにeポートフォリオ構成スキル(ePF構成スキル)修得のための指標を開発する。そのためのステップとして、既存のポートフォリオリテラシー(Jenson & Treuer, 2014;The Magazine of Higher Learning, 46:2, 50-57)ならびに、代表者らが担当する科目「ポートフォリオ演習Ⅱ」で使用され ている「ポートフォリオ公開のためのチェックリスト」を参照し、それらのリテラシーやチェック項目に関する内容を既存のサービスやツールで実施するために、どのようなスキルが必要になるかを検討し、整理をしてきた。 具体的にはJenson & Treuer(2014)のPFリテラシーで挙げられている5つのスキル (Collection, Self-Regulation, Reflection, Integration,Collaboration)ならびにポートフォリオ演習Ⅱで用いているeポートフォリオ公開のためのチェックリスト(16項目)の各項目に対して、eポートフォリオ構成 スキル修得支援の観点から、必要となるスキルをリスト化している。例えば、ポートフォリオ構成のスキルとして「学びの成果を記録できる」があるが、対応するeポートフォリオ構成スキルとしては「学びの成果の特性に応じたメディアで記録できる」「デジタル化されたデータの特性に基づいた記録方法ならびに提示 方法を選択できる」などが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
30年度の研究において,分担者との議論を通じ,「e ポートフォリオの典型的な機能」「機能を代替できる既存ツールやサービス」「機能を代替するツールやサービスの活用方法」の一覧表を開発してきた。その実用可能性の検証プロセスとして,既存ツールやサービスで実際にeポートフォリオを構築しうるか,またそれを運用しうるかの検討を行ってきた。その一環として,前年度に予定していたが実施できていなかっPF リテラシーの提唱者であるPaul Treuer博士ならびにe ポートフォリオ専門家のJanice Smith 博士による完成した指標へのエキスパートレビューを実施できた。その結果を受けてeポートフォリオ構成スキル修得支援の設計を改訂した。これらの成果を踏まえて,代表者ならびに分担者(松葉・久保田)が担当する科目「ポートフォリオ演習Ⅱ」を改訂し,科目の中でeポートフォリオの構築を通してePF構成スキルとPFリテラシーを修得させる設計をした。なおかつ,大学院修了後にもeポートフォリオを用いた学びを継続できるように,既存のツールやサービスも必要に応じて用いた,自らのeポートフォリオの設計,ならびにそれを用いた学習計画を提示させる課題を取り入れた。この科目の運用は平成31年度に行うため,実質的な評価は平成31年度の終わりになる。以上のようにポートフォリオリテラシーならびにeポートフォリオ構成スキル修得のための各種道具の準備が整いつつあり,それらを用いた実践も行い始めているため,概ね順調に進展していると考えている。元年度は他業務(政府系会議)に想定以上に忙殺されたため研究が進まず、一年延期をすることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
31年度以降の計画に記載している通り,学習支援環境のプロトタイプの開発を行う。具体的なイメージとしては,PF リテラシー修得支援指標とePF 構成スキル 修得支援指標ならびに学習者の学習状況(学習目標や学習内容、現在の学習フェイズなど)を分類した項目と連結させた指標に基づいて,自前e ポートフォリオ を構成・活用しながらPF リテラシーを活用しながら現在の学習を進めるための、学習方法やe ポートフォリオ構成法を提示するような仕組み(ウェブを想定) を開発する。それをベースにして,実際にその構成で学習ができるポータル的学習支援環境のプロトタイプを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
元年度は学外での兼業(政府系会議)への出席に移動日あわせて70日以上が費やされたため、研究に充てる時間が不足し、研究がほぼ進まなかったという状況である。そこで期間を1年延長し、元年度に実施する予定だった計画を2年度に実施することとした。
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