研究課題/領域番号 |
17K01086
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
椿本 弥生 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (40508397)
|
研究分担者 |
中村 美智子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10379589) [辞退]
冨永 敦子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60571958) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ティーチング・アシスタント(TA) / 学修支援 / 学生評価 / 媒介モデル / 交差遅延効果モデル / TA研修 / 高等教育 / 初年次教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「学習を支援する学生(チューター・TA)が支援を受ける学生に行う、学習支援に有効な行動とは何か?」を、TAと学生を対象とした実験や調査から明らかにすることである。目的を達成するための具体的な目標としては、以下の3つがあげられていた。すなわち、「1.文献調査などにより、学習支援に有効と思われる行動を調査する」、「2.有効と思われる行動から、実験で計測可能な指標を抽出する」、「3.抽出した指標に対し、学習支援の有無を検証するための実験を行う」である。 2019年度は、2018年度に行った「1.文献調査などにより、学習支援に有効と思われる行動を調査する」を基に、「2.有効と思われる行動から、実験で計測可能な指標を抽出する」を目的とした。ただし、本研究費を獲得した2017年9月から現在の勤務校に変更した際に、授業外の学習支援センターで多くのTAが頻回の学習支援を行うというフィールドが失われているため、十分な数の学習支援の観察や実験を行うことが困難な状況である。そのため、今後の展開として、2の目標記述内の「実験で計測可能な指標を抽出する」という点については調整が必要になっている。今年度具体的にとった方向性としては、『実験で検証することに重きを置くのではなく、その代わりに、実務経験が豊富なTAたちに質的調査を行い、学習支援に有効と思われる行動指標を収集する調査を行った』というものであった。 これらの行動指標は、研究代表者のこれまでの教育実践や文献調査などからある程度予測できているため、行動指標を知識として獲得するTA研修を2018年度・2019年度に先行して実施している。その効果を、学生による授業評価アンケート分析から明らかにした。 さらに、本研究も関連しているTA育成実践研究について複数の学会発表を行ったり、取材を受けたり、TA研修教材を開発したりといった活動を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の本欄および、今年度の研究実績の概要欄で述べた前提条件のもと、おおむね、前年度に予定したとおり研究を進めることができている。所属元の事業の一部(初年次教育を支援するTAの育成プログラムの開発と運営)と本研究とを関連させながら、「本研究の成果をTA研修やTA教材などに還流させ、利用者の意見を訊き修正する」というルートを保持しながら研究を進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度までに、実務経験が豊富なTAたちに質的調査を行い、学習支援に有効と思われる行動の具体例を質的に収集する調査を行った。さらに、2018年度から開発しているTA研究の教材も蓄積されている。今後は、これらの内容を質的に分析し、学習支援者の行動指標をルーブリックの形で整理する。その最初の版については、2020年度の後半で評価のための調査を行い、内容の確認を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費と謝金について、所属先からの支援をいただいたため、余剰金が生じた。 翌年度ぶんとあわせることによって、各種教材開発にかかる調査や謝金として利用する。また、成果を学会発表する際の予算としても利用する。
|