研究課題/領域番号 |
17K01089
|
研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
津曲 隆 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (90163881)
|
研究分担者 |
中里 陽子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (60644820)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 学生アシスタント / 地域密着型教育 |
研究実績の概要 |
2年目は、初年度に設計した授業で収集した質的データの分析と定量分析に向けたアンケート調査を行った。 本研究で設計した授業は、受講学生間に強い相互作用を促し、汎用的技能向上につながっていた。学生アシスタント(SA)として2タイプを設け、それぞれが受講学生にどのように影響しているかを分析した。2つのタイプは、SAについて事前に研究しその人材像について仮説を立てて授業に臨んだ「タイプA」と通常のSAとしての業務説明を受講した「タイプB」である。参与観察から、タイプAは、Bよりも主体的に行動していることがわかった。また、受講学生のレポートの内容分析から、タイプAのSAはBよりも受講学生に強い影響を与えていたこともわかった。 SAの効果をさらに詳しく調べるために、SAと受講学生に対して新たに設計したアンケートにて調査を行った。調査項目は大きく次の4つである。 (1)授業内外での学習支援経験の有無(SAが、これまでに下級生や後輩の学習を支援する活動を授業中や授業以外で経験したことがあるかどうかの調査)、(2)大学時代の学習態度(ベネッセ総合教育研究所の尺度を参考にして、学生アシスタントが大学時代に授業に対してどのように学習したかを明らかにする調査)、(3)大学生活の過ごし方(SAが大学入学後にどのようなことに積極的に取り組んできたかを明らかにするための調査)、(4)プログラムにおける受講生支援内容(受講生がプログラムの中でSAからどのような支援をうけたかを明らかにするための調査)。 以上のアンケートは、授業で実施したフィールドワーク開始前と授業が全て終了した後に行った。予定していた調査は2018年度までに概ね終了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に熊本県立大学で開講したサービスラーニング型授業「もやいすと(地域)育成プログラム」は受講生267名(学部1年生)および学生アシスタント(SA)18名を対象として実施した。このプログラムでは、地域社会が抱える課題とその解決方法を考えることを主題として、5月に初回オリエンテーションがあり、その後授業が進行していった。受講生全員を学部混合の5名一組とするチームに振り分け(合計52チーム)、夏季休業前まで続く一連のオリエンテーションを通してチームビルディングが行われた。9月中旬、52チームは3地域(17,17,18チーム)に別れ、それぞれが対象とする地域でフィールドワークを行った。9月下旬に、事前学習とフィールドワーク活動等で得た知見をふまえ,地域課題とその解決方法についてチームのアイデアを発表する最終成果報告会が行われた。 2018年度は、この授業実践を対象にして、SAの効果測定に向けた測定尺度開発を行い、授業前後において受講学生及びSAに対しアンケート調査を終えた。現在は、その分析を進めている。データ解析が少々遅れているが、概ね順調に研究は進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2017度に収集した質的データと量的データ、および2018年度に学生アシスタント(SA)の効果測定尺度に基づき設計したアンケートによって収集したデータを用いて、SAの効果的活用についての知見を整理する。2019年度は、整理した知見を踏まえ、SAを活用して地域密着型教育の効果を高めていくための方法について体系的な理論構築を共同研究者と共に行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主として予定よりも消耗品が安価に購入できたため。
|