研究課題/領域番号 |
17K01091
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (00334566)
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研究分担者 |
宮本 康司 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (00447575)
森 津太子 放送大学, 教養学部, 教授 (30340912)
高比良 美詠子 立正大学, 心理学部, 教授 (80370097)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 道徳 / モラルシンキング / クリティカルシンキング / 推論 / 認知体験型 / 認知バイアス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小学生高学年から中学生を対象に、クリティカルシンキングを核とした「モラルシンキング」を育む学習ツールおよび教授法を開発することである。生徒のモラルシンキングを育むには、生徒自身が日常に密着した「心理学的事象」(たとえば、人間の錯視、記憶、注意、問題解決のあり方など)を実際に「体験」し、それを「自分ごと」として捉え、現象の因果関係を「推論」する力を養うことが重要である。 研究では、心理学的事象を題材とした体験型学習ツールを開発し、授業実践と効果検証に基づき、最終的に、小中学生の「推論力」を育むべく、発達に即した体系的なモラルシンキングの教育プログラムを考案する。研究課題は、(1)認知体験型の学習ツールおよび学習ツールを用いた教授法の開発(開発研究)、(2)開発した教材や教授法による授業実践(実践研究)、(3)モラルシンキング尺度の開発、(4)授業の効果測定(調査研究)の4点となる。 今年度は、まず(1)について、「クリティカルシンキング」育成に関する申請者らの先行研究に基づき、モラルシンキングを導く「学習ツール」(授業用プレゼンテーション)のコンテンツを選定した。具体的には、虚記憶やステレオタイプなどの「認知バイアス」を中心とした心理学的事象を素材として、学習ツールを試作した。試作後、(2)に向けて、中学校の教員(現場指導者)を交えて、プレゼンテーションを改善し、さらに、教員を対象として授業実施のための研修会を開いた。実際に、研修を受けた教員は、学習ツールを用いて、中学1年生に向けて授業を実施した。また、学習ツールの開発と並行して、(3)の「自己評価式モラルシンキング尺度」(中学生版:社会・集団とのかかわり編)の開発に向けてプレ調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通り研究を遂行することができた理由として、研究の早い段階から、申請者および研究分担者・協力者を中心に「モラルシンキング研究会」を立ち上げ、定期的に研究会を開催し、課題達成に向けてのスケジュールおよび手続きなどを検討したことがあげられる。また、授業実践についても、中学校との連携がスムーズに成立し、「授業実施検討会」を複数回開くことで、実践までの準備(時間、検討)を十分に確保したことで、現場の教員が一定の水準で「モラルシンキング」の授業を実施するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
授業実践の振り返りを行い、その結果を基に、学習プログラム(学習テーマ、学習形式、学習目標等)および学習ツール(授業用プレゼンテーション)を改善すると同時に、次の学習ツールのコンテンツを新規に検討する。モラルシンキングを育成するには、単発での授業形態ではなく、継続かつ定期的に授業を行うことが重要である。学習ツールのシリーズ化を視野に入れ、心理学実験やクリティカルシンキングトレーニングを組み込んだ学習ツールや教授法、授業プログラムを開発する。また、教員向けの授業研修会も継続して行い、授業実践に臨む。 さらに、学習ツールの開発と並行して、自己評価式モラルシンキング尺度(中学生版)に関する本調査を行い尺度の完成を目指すと同時に、尺度開発とは別に、授業の効果測定のための調査を定期的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表の出張および調査実施に関する経費が予定よりも早期に発生し、当初予定していたパソコン等の購入に不足が生じたため、次年度に予算を繰り越し、次年度の予算と併せてパソコン等の機材を購入することとした。
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