視覚障害者が行う触指の触指位置を検出・追跡して,そのデータを情報科学的に分析する試みは殆ど行われていない。このことが,視覚障害者の形状理解に対する支援体制が遅れている原因でもある。我々は触指情報から,視覚障害者がどのように対象物のイメージを理解するのか,どのように認知像を創生するのかを明らかすることを目的としている。 触指を理解するための定量化を試みた本研究は,それ自体に特色があり,得られた成果は触知の評価だけでなく,図形や形状への情報獲得支援に応用できる。例えば,視覚障害者が使う機器のボタンの位置や操作など,どこが原因で触指情報を獲得しづらいかなどよりアクセシブルな判断指標にもなり得る。
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