| 研究課題/領域番号 |
17K01093
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| 研究機関 | 東洋大学 |
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研究代表者 |
山川 聡子 東洋大学, 理工学部, 教授 (20293748)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 制御工学教育 / 実験教材 / 移動ロボット / 極配置法 / PID制御 / 非線形制御 |
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| 研究実績の概要 |
本課題では，自動運転などとの関連づけがしやすい移動ロボットを用いて，制御工学教育のための教材開発を行っている．平成29年度は，まず一般に販売されている安価な小型移動ロボットに対応した軌道制御プログラムを作成した．この制御プログラムは，オドメトリによって自己位置推定を行い，古典的なPID制御を用いて移動ロボットの軌道制御を行う．この際，ロボットの軌道データを外部のコンピュータで取得して制御ゲインとロボットの軌道の関係を検証することができる．この制御方法と制御プログラムの説明資料を作成し，JAPAN ROBOTECH社へ寄稿した．これは同社から発売中の移動ロボットキットのマニュアルに掲載された．
つぎに，非線形制御法を前述の小型移動ロボットに適用した．この制御法を用いると水平面内での移動ロボットの軌道が線形２次系の応答と一致する．そのため，理論的に知られているシステムの極と応答の関係をロボットの軌道として目で見て確認することができる．プログラミングの知識がなくても装置を使用できるように，インターフェース用プログラムの試作版を作成した．このプログラムでは，ロボットにUSB接続したコンピュータから制御則の選択および制御パラメータの入力をすることができ，リアルタイムでロボットの軌道をグラフ化して確認することができる．このシステムを用いて90分×2回で実施する実験のためのテキストを作成した．大学院生対象の少人数講義で一人一台ずつこのシステムを用いて実験を実施した．受講者に感想を聞き，効果と問題点を検討した．
上記教材の基礎となる非線形制御則はシステムの安定性を保持したまま，任意に切り替えることができる制御パラメータを含んでいる．この制御パラメータを適切に切り替えることで移動ロボットの形状に依存した問題を回避し，自動駐車に要する時間の短縮を実現した．この成果は学術論文として公表した．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題は３つの点に分けて計画していた．まず，１つ目の移動ロボットの制御プログラムについては，古典制御(PID制御)，および非線形制御理論にもとづいて，小型移動ロボットの軌道を制御するプログラムを作成し，予定通り達成した．２つ目の教育法（カリキュラム）の提案と作成については，当初は学部生向けのものを最初に作成する予定であったが順番を変えて，まず大学院生対象のカリキュラムに取り組んだ．大学院生を対象として3時間程度で完結する実験カリキュラムを作成し，実際に講義中に実験を実施した．PID制御における制御ゲインの違いによる応答の変化やシステムの極と応答の関係がロボットの軌道変化として理解できる実験内容である．３つ目の制御理論を理解させるための実験を含めたテキストの作成については，PID制御に関係する部分を作成し，一般に販売されているロボットキットのマニュアルにて公開した．テキストに掲載する実験条件を定めるために，あらかじめ基礎実験を行なって制御則の違いや理論的に知られている結果が理解しやすいような制御パラメータを選定した．
以上のことから，本課題はおおむね計画通り，順調に進展していると考える．
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| 今後の研究の推進方策 |
1年目はおおよそ予定通りの進捗状況であったので，2年目以降も計画にしたがって遂行する予定である．学部生対象の実習科目でこの教材を用いた制御実験を実施する．検証結果を踏まえて教育手法を改善する一方，いくつかの講義形態での実施を想定したカリキュラムを作成する．
講義中の実験で学生が用いる場合，本題と異なる操作が必要だと理解の妨げになる．前年度までに作成した制御プログラムのパッケージ化や，グラフ表示などのインターフェース部分の再検討を行ない，学生が実験結果を比較しやすいように教材を改良する．特に，試作版では操作用のコンピュータとロボットを有線で接続しており，ロボットの可動範囲が限られているので，接続の無線化についての検討を行う．
1年目に大学院生を対象とした3時間程度で実施する実験カリキュラムは作成したので，2年目は2018年10月開講の講義に間に合うように学部生向けの12時間程度のカリキュラムを作成する．また，次年度に向けて制御工学の講義を受講する前の学生を対象とした6時間程度で実施する学生実験用のカリキュラムを検討する．並行して，WEBを通じて独学で学べるようなカリキュラム，制御理論を理解させるための実験を含めたテキストの作成を継続する．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
物品購入等で端数(11,538円)が生じた．継続課題であるので次年度に繰り越して物品購入等において有効に使用する予定である．
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