研究課題/領域番号 |
17K01096
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
工藤 知草 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (90759515)
|
研究分担者 |
西 誠 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (00189250)
三嶋 昭臣 金沢工業大学, 教育支援機構, 教授 (30064463)
山岡 英孝 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (10443045)
谷口 哲也 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (90625500)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ピア・インストラクション / Concept Test / 大学入学共通テスト / 数学 / 物理 / 数学概念調査 / 実験 / データサイエンス |
研究実績の概要 |
1.数学のConcept Testの開発と数学のPI型講義の実践 数学の分野で,学生同士の対話により論理的思考力を養う講義形式へ質的転換する必要がある.ピア・インストラクション(以下,PI)を導入した数学の講義を実施するためには,数学のConcept Testを豊富に開発することが不可欠である.平成29年度は合計126問の数学のConcept Testを開発した.そのConcept Testを用いて数学のPI型講義を合計21回実施した.「線形代数I」では2回,「線形代数Ⅱ」では3回,「微積分I」(講義名:工学のための数理工(関数・微分))では3回,「微積分Ⅱ」(講義名:工学のための数理工(積分・微分方程式))では3回,「確率統計」(講義名:技術者のための統計,情報のための数学)では10回,実施した. 2.物理実験と概念形成を融合したPI型講義の開発 現実のデータから物理法則を見出す能力を養うことは非常に重要である.平成29年度は「運動の表し方」,「運動の法則」に関連し,力センサとモーションセンサを活用したデータサイエンスの要素を取り入れたPI型講義を開発した.「撃力の作用・反作用の法則」に関連し,2つの台車の衝突実験で力センサを活用し,「慣性の法則」,「等速直線運動」,「等加速度直線運動」,「撃力」に関連し,台車の斜面の運動の実験でモーションセンサを活用した. 3.数学概念調査(Mathematics Concept Inventory)の開発 物理分野では,学生の概念形成を定量的に測るために「力学概念調査」(Force Concept Inventory)が活用されている.数学の分野でも,学生の概念形成を定量的に測るテストの考案が必要である.平成30年度以降に「数学概念調査」を開発する予定であったが,時期をはやめて,平成29年度に「確率統計」の分野で12問を試験的に開発した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.「数学のConcept Testの開発と数学のPI型講義の実践」:平成29年度は,「線形代数I」,「線形代数Ⅱ」,「微積分I」,「微積分II」,「確率統計」の分野で,数学のConcept Testを150問開発することを目的にしていたが,現在,126問の開発にとどまっている.平成30年度以降で合計200問を開発する.平成29年度において,数学のPI型講義の実施回数は合計21回で,多くの実践を行った. 2.「物理実験と概念形成を融合したPI型講義の開発」:平成29年度は「運動の表し方」,「運動の法則」,「仕事と力学的エネルギー」に関連した物理実験と概念形成を融合したPI型講義を開発する予定であったが,「運動の表し方」,「運動の法則」の開発だけを行った.遅れた理由は,力センサ,モーションセンサ,光ゲートセンサを活用した実験の考案,センサのテスト,Excel, Matlabによるデータ分析の手法を事前に確認する必要性があったことによる.平成30年度に「仕事と力学的エネルギー」の分野での開発を行う. 3.「数学概念調査(Mathematics Concept Inventory)の開発」:本来の計画では,平成30年度以降に開発する予定であった「数学概念調査」を,時期をはやめて,平成29年度に「確率統計」の分野で12問を試験的に開発した.
|
今後の研究の推進方策 |
1.数学のConcept Testの開発と数学のPI型講義の実践 平成29年度は,数学のConcept Testを合計126問考案し,数学の分野でPI型講義を合計21回実施した.平成30年度の研究の推進方策は,数学のPI型講義の実践による学生のクリッカーの回答分布の結果を詳細に分析する.学生が間違えやすい数学の因子を抽出し,これまで考案したConcept Testの改善をする.また,新たなConcept Testを開発し,平成30年度以降で合計200問の数学のConcept Testを開発する.また,開発したConcept Testを用いて,「線形代数I」,「線形代数Ⅱ」,「微積分I」(講義名:工学のための数理工(関数・微分),「微積分Ⅱ」(講義名:工学のための数理工(積分・微分方程式)),「確率統計」(講義名:技術者のための統計,情報のための数学)において,数学のPI型講義を実践する. 2.物理実験と概念形成を融合したPI型講義の開発 平成29年度は,「運動の表し方」,「運動の法則」において物理実験と概念形成を融合したPI型講義を開発した.平成30年度には,「仕事と力学的エネルギー」,「放物運動」,「剛体」,「運動量と力積」,「円運動」,「単振動」において,力センサ,モーションセンサ,光ゲートセンサを活用したデータサイエンスの要素を取り入れたPI型講義を開発し,学生同士が対話とデータ分析を通して本質的な理解を得るような講義形式にする.ここで,データ分析ではExcel,Matlabを活用し,考案した物理学のPI型講義を実践して,改善する. 3.数学概念調査(Mathematics Concept Inventory)の開発 平成29年度に開発した「確率統計」の分野での「数学概念調査」(全12問)を改善し,平成30年度には「確率統計」の分野で,合計30問を開発する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の学会発表の実施回数が予定より少なかったため次年度使用額が生じた.翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は,平成30年度における国際会議による研究成果発表の回数を増やす予定である.
|