研究期間全体を通して(1)身体装着型モーションセンサーと動画像解析を統合したセンシング技術の開発、(2)機械学習技術を適用したスキルモデリング手法の提案、(3)スキル学習支援システムへの実装と検証の目的を掲げ、以下に示す成果を得た。なお、在外研究(ドイツ、リューベック大)のため、1年の期間延長をしている。 (1)については、ペン習字や塗り絵を対象に、ペン軌跡情報と画像認識と特徴量抽出の手法とを組み合わせて、書き方や塗り絵のスキルの検出手法の実装を進め、オープンソースライブラリを利用しながら動画像解析の独自実装を行い、その技術的基盤を確立した。また、身体装着型の加速度センサーを用いた動作検出についての研究を進めており、リューベック大学の実験施設を利用して装着型センサーを用いて「松葉杖スキル検出」のための基礎的データ取得に取り組んだ。(2)については、(1)の「松葉杖スキル検出」の課題の他に「ラジオ体操の動作認識」と、「ハンググライダー旋回スキル」についての研究も並行して進めてきた。ラジオ体操ではモーションカメラセンサー、ハンググライダーではGPSデータを用いて、機械学習技術を用いたスキル検出器の実装モデルと開発に取り組んだ。(3)については(1)(2)の技術をベースにしたプロトタイプシステムを試作し、動作検証実験からその枠組みの有用性を考察した他、本学のオープンキャンパス等でデモ公開を行い、実用性の高さを示した。 (1)(2)は身体装着型モーションセンサーと画像処理技術を組み合わせた機械学習によるスキル検出のためのスキルモデル構築につながる成果である。リューベック大学で得た実験データを用いて機械学習によるスキル検出器を実装することができれば、この手法は今後の研究への転用が期待できるものとなり、様々なスキル検出器構築の応用への足がかりとなる非常に意義を持つものとなる。
|