前年度に引き続き、アクティブラーニング(以下、AL)への適応状況を可視化するために、尺度開発を継続した。本年度は、学びへの積極性に着目し、それに関する6項目を追加して、教養教育科目の受講者274名(有効回答274名)を対象にgoogleフォームを使って全部で37項目の質問に答えてもらった。因子分析を行ったところ、5因子から構成された尺度を構成することができた。この尺度をAL適応感尺度とし、第1因子を初対面コミュニケーション、第2因子を学びへの積極性、第3因子を自他不信感、第4因子をフリーライダー、第5因子を他者依存とそれぞれ命名した。 この尺度の有効性や学生の識別能力を検証するために、グループ活動の前にAL適応感尺度を全員に回答してもらい、グループの構成員の特色が重ならないようにグループ編成を行った。編成したグループで、プレゼンテーションの資料作成と発表を行わせ、終了後にグループ編成に関する質問紙調査を行った。その結果、83%の学生が「とても良い」「良い」と肯定的に捉えていた。それらの学生の自由記述には、「バランスが良い」、「それぞれが自分の長所を生かして行動できた」とあった。一方、「とても悪い」「悪い」と答えた学生の自由記述には、「話す人と話さない人の差が大きい」とあったが、「個人では良い関係がもてた」、「リーダー的な存在がいてやりやすかった」とあり肯定的な記述もあった。学生に自由にグループ編成させた時と比べて、フリーライダーと予測していた学生が活発に議論する様子や学生間で切磋琢磨する様子を観察することができた。このことから、本尺度をグループ編成にも活用できる可能性を示すことができた。他にも2科目の授業で、同様のグループ編成を行い、良好な結果が得られている。
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