研究課題/領域番号 |
17K01101
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研究機関 | 会津大学短期大学部 |
研究代表者 |
中澤 真 会津大学短期大学部, 産業情報学科, 准教授 (40288014)
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研究分担者 |
梅澤 克之 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (20780282)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / 初等教育 / 学習履歴 / 学習分析 |
研究実績の概要 |
初等教育向けのプログラミング教育の実証実験のため,会津若松市教育委員会を介して会津若松市立一箕小学校と連携し,5年生を対象に学習履歴取得のためのプログラミング教育を4クラス各5回実施した.新学習指導要領で求められている一般教科にプログラミングを盛り込んだ実践ということに対応するため,算数と関連させたプログラミング教育の展開について検討した.なお,学習履歴を取得するためにビジュアルプログラミング言語Scratchベースの環境を用いて授業は行なった. 検討した算数の単元としては,公倍数,単位量あたりの大きさ,図形の角,いろいろな四角形の面積,点対称である.公倍数はFizz Buzz問題とキャラクタ動作を連携させたプログラムで類似の事例も多い.同様に図形の角についても,キャラクタの動いた軌跡で図形描画させ,移動方向の回転角と図形の角の関連性を考えさせる典型的なものである.単位量あたりの大きさについては,広場の大きさとその中のキャラクタの数を指定することで,面積あたりあるいは一人あたりの量を自動計算するプログラムを作らせるものである.いろいろな四角形の面積は,多様な三角形タイルを回転や移動させ合体させる動きをプログラムで作成することにより,平行四辺形や台形などの四角形を生成させることにより面積の算出式との関係性を考えさせるものである.最後の点対称は6年生の算数の先取りとなるもので,多様な図形タイルの重心点を中心に回転させたとき,図形によって元の図形と重なるための回転角が異なることに気付かせる取り組みである. これらのプログラム教育実施時の小学生のプログラム作成過程の履歴を記録し,この分析を継続中である.また,算数の理解度への影響も調査するために単元小テストも実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般教科におけるプログラミング教育の適用は,プログラミングの難易度と算数の難易度の両方のバランスを考慮する必要があり,予想以上に実証実験の適用単元の検討に時間を要してしまったことが一因である.ある程度まで組み上がったプログラムから学習を始めた場合には,プログラムの一部をブラックボックスとして取り組むことは可能であるが,プログラミングの自由度は低下し,創造力や表現力を磨く機会が減ってしまう.また,創意工夫し試行錯誤する機会も少なくなるため慎重に検討する必要がある. また,プログラミング授業の実施においても,小学校のICT環境に不十分な点も多いため,授業開始から実際のプログラム作成を始められるようになるまでのタイムラグも大きいなど,授業の進捗も遅れ気味であったことも要因である.
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今後の研究の推進方策 |
現在まで得られている学習履歴データの分析を継続するとともに,実証実験として実施するプログラミング教育の対象を5年生の算数教育だけでなく6年生にも対象を拡大して実施する.また,一般教科として理科にプログラミング教育を盛り込むために教育用ロボットを用いた実証実験も行う.アーテック社のロボット教材では,Scratchベースのロボットを制御するプログラム作成環境がオープンソースとして公開されているため,まずはこれに手を加えて詳細な学習履歴が自動記録される環境を新たに構築することにも取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
実証実験用のノートPCの購入を初年度に購入予定であったが,2018年度であれば本学のシステム更新に伴うリースアップ品のノートPCを安価に購入できることになったため,予定を変更した.
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