研究課題
本研究では,発展途上国の不安定なネットワーク環境上で安定的に動作する教育支援システムの実現に向けて,①学校ごとの稼動独立性を向上させることと,②ネットワークを介した学校間協調学習環境の環境全体としての稼動可能時間を可視化することの2つを目的として研究を行った。実現のための具体的方策として,市街地と山村間を複数の無線アンテナで中継した無線メッシュネットワーク網の各ノードに設置し,生存ノード間で情報共有する機能を有したユニットを開発した。ユニットを用いることで,各学校のみならず,各中継ノードでも教育用コンテンツを複製して保持し,データベースに冗長性を持たせることで不安定なネットワーク上での安定したデータ管理を実現できるしくみを実現した(機能①)。また,学校間で設置された無線ノード個々のバッテリー充足率や消費電力量から稼動可能時間を可視化する機能(機能②)の実装を進めた。最終年度は,上記2つの機能を搭載したユニット機器を本研究で研究対象地域とするネパールに持ち込み,現地の環境下で稼働実験を行った。実験の結果,機能①については現地環境下でも問題なく動作し,各学校用に設置した学習支援システムMoodleを搭載したPCのデータベースとして問題なく稼働した。街と村及び日本に設置したサーバの3点間で問題無く稼働することが確認できた。一方で,機能②については,現地で入手可能なバッテリーとユニットの計測センサーが合わず,うまくデータを取れない問題に直面した。また,落雷などによる停電が発生した際に,バッテリーへの切り替えがうまく働かず,システムがダウンしてしまう不具合が生じた。目的に挙げた学校間協調学習環境としての有用性は現地の学校教員や研究者の理解も得られ,今後の協力体制の構築ができた。しかし,実運用には課題が多く残されていることが明らかとなった。
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Proc. of 2019 International Conference on Networking and Network Applications, IEEE Xplore
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10.1109/NANA.2018.8648705