研究課題/領域番号 |
17K01107
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三波 千穂美 筑波大学, 図書館情報メディア系, 講師 (40194328)
|
研究分担者 |
島田 英昭 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20467195)
高橋 尚子 國學院大學, 経済学部, 教授 (30459002)
森口 稔 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (40389094)
冨永 敦子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (60571958)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 学習環境 / ライティング教育 / テクニカルコミュニケーション / ルーブリック |
研究実績の概要 |
企業実務にライティングは不可欠である。その中でライティング力の養成が高等教育・社員教育において行われているが、ライティング力の養成には学習者の自律的な学習が求められる。そこで本研究は、テクニカルコミュニケーション研究の知見を応用しながら、心理学における達成目標理論に基づくマスタリー目標の認知を支援するルーブリックを開発することを目的とする。 平成29年度は、テクニカルライティング研究・実務・教育からみたライティング技能の概念整理、ルーブリックの作成を行うライティング技能の上位概念に対応した観点リストの作成を行う予定であった。 ライティング技能の概念整理については、次の2点を実施した。第1に、動機づけの達成目標理論について先行研究を調査し、その成果を観点リストの作成時に応用する予定である。第2に、ライティングの到達目標として、「○○ができる」という形式で抽出できるスキルリストを、テクニカルコミュニケーションに関するヨーロッパ、アメリカ、日本に関する資料から抽出した。その結果、「一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会(編著)日本語スタイルガイド(第3版)」をベースとして進めることとした。 観点リストの作成については、現在作業を行っている。平成29年度に終了する予定であったが、計画の遅れが生じ、平成30年度前半で終了する予定である。 また、代表者・分担者でミーティングを実施し、計画についての合意を得た。その際、平成30年度に実施する大学生調査のフィールドを確保した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライティング技能の概念整理の後、平成29年度中に観点リストの作成が終了する予定であったが、平成30年度前半に延長することとした。この点については、計画がやや遅れている。 一方で、平成30年度に調査データを取得する予定であるが、そのフィールドを平成29年度中に先駆けて確保することができた。このため、観点リストの作成が遅れているが、調査にスムーズに入ることが可能となり、平成30年度の予定を遂行できる見込みである。 以上から、遅れが生じている部分と先駆けて実施した部分があるが、平成30年度までの課題は計画通り進めることができる見通しであり、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度前半は、遅れている観点リストの作成を実施する。ライティング技能の上位概念のそれぞれについて、「○○の力」といった形式で5~10程度の観点を作成する。次に、各観点を4段階で評価する評価基準を作成する。自己評価が行いやすい「○○ができる」という形式を基本とする。この際、観点・評価基準がマスタリー目標として認知しやすくなるように配慮する。 平成30年度後半は、ルーブリックの構成概念妥当性と基準関連妥当性の検証を行う。社会人および大学生を対象にデータを取得し、ルーブリック評価リストの構成概念妥当性と基準関連妥当性を検証する。データ取得方法として、社会人はウェブ調査、大学生はボランティアのアンケート協力を求める。構成概念妥当性(因子妥当性)の検証では、ルーブリックのライティング技能の上位概念への対応を、因子分析、共分散構造分析等の手法により検証する。基準関連妥当性の検証では、ライティング力に関する主観的評価等の外的変数を設定し、相関係数、回帰分析等の手法により分析する。最後に、結果を参考に評価リストの改良を行う。 平成31年度は、ルーブリック評価リストの運用と改善として、大学教育における運用と効果検証を行う。実際に、代表者・分担者・連携者らが行っている大学授業において活用する。この際、ライティングに対する動機づけ、理解、学習方略等を評価できる外的変数を導入し、事前事後法によって、評価リストがそれらの変数を向上させるかどうかを検証する。また、インタビューや自由記述等も合わせて求め、参考とする。授業における運用を通して、実践的な運用ノウハウもまとめる 平成32年度は、改良したルーブリックを再度運用し、その効果を実証し、結果をまとめる。研究チームが主催しているテクニカルコミュニケーション学術研究会を通して、実務分野に成果を還元する。また、学術的な成果の学会発表、論文発表も実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度では、当初計画の会議が少なくて済み、また当初計画の物品・資料が予想以上に少なくて済んだため、余剰資金が発生した。 一方、インターネット調査に予想以上の資金が必要である可能性があり、余剰資金は平成30年度に計画している調査の資金として利用する予定である。
|