本研究では中学校・高等学校の数学試験を対象とし,コンピュータ上で実施する試験(CBT)において証明問題を出題することを考え,その問題形式を開発し「生徒の思考力・判断力・表現力が評価できるか」という観点で評価することを目的としている。 令和4年度では,令和3年度に引き続き,本研究で開発した問題形式の評価および改良を行うことを目的とした。具体的には,令和2年度および令和3年度に実施した本学学部1年次生を対象とした質問紙調査を実施した。この調査では,受験者がCBTで解答した内容をコンピュータが自動採点することを考え,CBTで「出題できる」もしくは「なんとか出題できる」問題をいくつか提供し,それに基づいて回答者から意見を得ることを目的としている。 令和3年度までの質問紙調査において,『選択式問題や数字のみを書かせる短答式問題を出題したとしても,「他者が作成した証明過程の正誤を判断する問題」であれば,受験者の論証能力を十分に評価できる』かどうかを確認している。令和4年度では,より正確な結論を出すことを目的として追加調査を行った。 一方,CBTではないものの,これまでの大学入学共通テスト「数学I」,「数学I・数学A」,「数学II」,および「数学II・数学B」においても,本研究に関連する結果が得られていることから,今後はそれらの検証結果も踏まえつつ,令和4年度まで実施した質問紙調査の結果を論文にまとめ,広く公表していく予定である。
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