2020年度の研究では,下記の2点を実施した. 1)通信動作の依存関係分析手法の改善 先に提案した手法は,計算機上に構築した仮想的なSDNネットワークから,コントローラの実行履歴とネットワークを流れる通信データを取得し,その依存関係を発生時間およびSDN動作特性により分析するものであった.この手法に対して,無駄な処理を省きデータ構造を再設計することで,より効率的な分析手法を提案した. 2)評価実験のためのSDN演習システムの準備 申請時において利用予定であったSDN演習システムは,拡張性に乏しい設計のため提案手法を実装することが難しいことが判明した.また,主機能の一つに用いた技術(Java)が,セキュリティの観点から一般的な環境において利用困難になりつつあった.このため,動的ウェブページのコーディングが比較的容易であり,現在広く普及しているJavascriptおよびHTML5を用いてネットワークのトポロジー作成およびネットワーク機器のターミナル操作を可能とする動的ウェブページを開発した.また,これらのウェブページとウェブサーバ間での要求・応答の交換プロトコル,および演習の受講者数に応じた数のSDNネットワークを複数のサーバに分散して構築・管理するアーキテクチャを設計した.これらを仮想マシンによるLinux機器をノードとするネットワークを構築する演習システムとして実装・運用した.これにより,この設計は一定の有効性と信頼性を得たと考えられ,仮想マシン特有の部分をSDNの仮想機器に変更することで,SDN演習システムを実装・運用できると考えられる.
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