研究課題/領域番号 |
17K01133
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
藤本 光史 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20270241)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ユーザインタフェース / 置換パズル / God's number / 手書き図形入力 |
研究実績の概要 |
本研究は数式だけでなく図形も手書きで入力できる新しい数学用インタフェースを開発すると共に、計算問題に対して適切な助言や計算過程を与える機能、図形問題に対して真偽判定や証明を与えるインテリジェンス機能の実現を目指したものである。平成30年度は昨年に引き続きユーザインタフェースの研究を推進した。 始めに15パズルのインタフェースについて研究した。置換パズルにおける最適解の最大手数をGod's numberという。15パズルのloop generatorsという回転型操作によるGod's numberが27以上31以下であることを示し、通常の操作と比較して操作数が少ないことを明らかにした。そして、視覚に障害を持つユーザがタブレット端末で利用し易いよう昨年開発した15パズルアプリのインタフェースの改良を行った。この研究成果は日本数式処理学会第27回大会及び京都大学数理解析研究所研究集会で発表した。 次に手書き図形入力インタフェースの研究を行った。まず、動的幾何ソフトウェアGeoGebraの手書き図形機能で用いられている図形認識アルゴリズムについて調査を行った。そして、プロトタイプ開発のために既存の電子ペーパータブレット4機種の設計仕様とアプリ開発環境について調査を行い、そのうちの一台において手書きアプリのプロトタイプを開発した。この研究成果は日本数式処理学会第14期第1回教育分科会及びRisa/Asir Conference 2019で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インテリジェント数学授業支援システムの実現に必要な数学ユーザインタフェースの研究を推進し、上記「研究実績の概要」で記述した結果を得た。そして、研究論文を1篇出版し、学会・研究集会で4件の研究発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、昨年度までに得られた成果を基にして、平面図形に付加された直角や平行などの記号から数式を自動生成し、それらをインタラクティブに編集することによって初等幾何の命題を作成するインタフェースの開発を行う。さらに、定理証明支援系のCoqと連携して入力した命題の真偽判定を実現するための設計を行う。 最終年度の2020年度は、前年度まで作成した全ての機能を統合してインテリジェント数学授業支援システムを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では平成30年度に国際会議で研究成果の発表を行う予定であり、そのための旅費と国際会議参加登録費を計上していた。しかし、予想より早く研究成果が出て平成29年度に国際会議で発表を行ったことに伴い、平成30年度の海外出張は取り止めたことが次年度使用が生じた理由である。 前年度残額52万円と今年度請求額50万円の計102万円は、手書き図形インタフェースの開発に必要となる電子ペーパータブレット2台(16万円)、比較検証のために必要なAndroid及びiOS端末各1台(14万円)、プリンタトナーやDVD-Rなどの消耗品10万円、ユーザインタフェース関連図書5万円、数学関連図書(数学教育・幾何教育・定理証明支援系)8万円、研究打合せ及び成果発表のための国内及び国外旅費44万円、参加登録費5万円として使用する予定である。
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