研究課題/領域番号 |
17K01144
|
研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
青木 久美子 放送大学, 教養学部, 教授 (90392290)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | コンピテンシーに基づく教育 / 高等教育 / デジタルバッジ / ルーブリック / ブロックチェーン / デジタルクレデンシャル |
研究実績の概要 |
本研究においては、近年特に米国において多くの大学が実施を始めたコンピテンシーに基づく教育(CBE)について、①CBEがどのように実施されているのか。②CBEが従来のカリキュラムとどのようにして共存しているのか。③コンピテンシーの習得のためにどのような教材が提供されているのか。④CBEプログラムの学生にどのような学習支援が提供されているのか。⑤コンピテンシーの習得をどのように評価しているのか。⑥コンピテンシーの習得をどのように証明しているか。を明らかにすることを目的としている。 研究年度2年目の平成31年度に関しては、⑤と⑥にフォーカスを当て、コンピテンシーの習得の評価、特に、専門分野に限らない一般教育、又は教養教育の部分でどのようにコンピテンシーの習得を評価しているのかを中心に情報収集をした。AAC&U(全米カレッジ・大学協会)のLiberal Education and America’s Promise (LEAP)プロジェクトでは、日本でいう学士力に相当するような一般的な学力を評価するためのバリュールーブリック(Value Rubric)という評価指標を開発している。バリュールーブリックでは、批判的思考力(Critical Thinking)、創造的思考(Creative Thinking)、文章表現(Written Communication)、数理的思考(Quantitative Literacy)等が定義され、標準化テストではなく、学生のポートフォリオに基づいたエビデンスによる評価を行うことが前提条件となっている。⑥においては、マサチューセッツ工科大学が開発したBlockcerts等、デジタルバッジをブロックチェーン技術を用いて分散管理するして、個人のコンピテンシーや修了証名等を行う試みが始められていることが情報収集から明らかになり、大変興味深い。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に実施する研究計画として、ケーススタディによる情報の収集が主であった。大学等の個別訪問による調査は、研究者の本務スケジュールと訪問先のスケジュールの調整がつかなかったため、訪問できたのはアリゾナ州立大学のみであったが、デジタルクレデンシャルやデジタルバッジを含む高等教育におけるオープンレコグニションの最大の会議であるePICと前述したAAC&UのLiberal Education(教養教育)とGeneral Education(一般教育)の評価に特化した会議に参加して情報収集を行うことにより、有用な情報を得ることができたと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、米国の大学におけるコンピテンシーに基づく教育(CBE)に関する情報を主に集める予定であったが、CBEに関しては、欧州の高等教育機関においても様々な取り組みがなされていることが、情報収集過程において判明したため、本研究計画の最終年度である本年度においては、欧州における動向も視野にいれて情報収集を行う。特にMOOC(massive open online courses, 大規模公開オンライン講座)を活用したCBE教育とコンピテンシーの認定、欧州の高等教育機関がCBEに関してどのような方向性を示しているか、そして、CBEの根底にあるオープンエデュケーションの動向についての情報収集を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
どうしても端数が余ってしまったため、次年度の消耗品費とする。
|