研究実績の概要 |
本研究においては、近年特に米国において多くの大学が実施を始めたコンピテンシーに基づく教育(CBE)について、①CBEがどのように実施されているのか。②CBEが従来のカリキュラムとどのようにして共存しているのか。③コンピテンシーの習得のためにどのような教材が提供されているのか。④CBEプログラムの学生にどのような学習支援が提供されているのか。⑤コンピテンシーの習得をどのように評価しているのか。⑥コンピテンシーの習得をどのように証明しているか。を明らかにすることを目的としている。 研究最終年度の令和1年度に関しては、コンピテンシーに基づく教育が、今後の高等教育をどのように変容していく可能性があるのかを、MOOC(massive open online courses, 大規模公開オンライン講座)やオープンエデュケーションといった切り口から情報収集をした。CBEはオンラインで提供されることを前提としており、CBEと付随して、受講生の学習履歴分析(ラーニングアナリティクス)や人工知能(AI)と親和性が高く、また、コンピテンシーの習得の証明のためのデジタルクレデンシャルをブロックチェーンで発行する、という試みもなされ始めている。令和2年初頭から始まった新型コロナウィルス感染拡大により、世界中の大学でオンライン授業を強いられるようになった。これにより、大学といった公式な教育機関の壁を越えて、様々な教育サービスが提供できることの認識が高まり、今までの大学というものの存在自体が再考されるようになった。従来の、大学で4年間勉強し学位を取得する、という構図が、変化しつつあるのである。また、大学で修得すべきコンピテンシーというものも、再考されている。専門分野別の知識やコンピテンシーというものよりも、分野を横断する柔軟なプロセス的スキルやコンピテンシーが重視されるようになってきている。
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