研究課題/領域番号 |
17K01147
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
佐々木 茂 帝京大学, 理工学部, 教授 (70328087)
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研究分担者 |
高井 久美子 帝京大学, 理工学部, 講師 (00527682) [辞退]
渡辺 博芳 帝京大学, 理工学部, 教授 (40240519)
古川 文人 帝京大学, 理工学部, 講師 (50407889)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 反転授業 / 事前学習 / 講義コンテンツ / インタラクティブ / 学習記録 |
研究実績の概要 |
反転学習における事前学習においては,学生は事前に講義ビデオを視聴して予習し,授業時間中は演習等のアクティブラーニング等に取り組むことが一般的であるが,講義ビデオの視聴は能動的な活動である.本研究では,ノベルゲームのプラットフォームをベースとした,学生がインタラクティブに閲覧を進める仕組みを備えた,アクティブな事前学習のための講義コンテンツの方式を提案し,そのためのコンテンツの開発と,そのコンテンツを閲覧するための専用のビューアアプリを開発する.さらにコンテンツ作成支援のためのツールや,学生のアクティビティの記録を詳細に記録し学生へのフィードバックを支援するためのツールも合わせたシステムの開発を行う. 2018年度までに,学生がインタラクティブに学習を進めることができる事前学習モデルを考案し,そのモデルに沿った学習に必要な教材の説明資料を開発した.この事前学習モデルでは,学生は講義ビデオの代わりに,スライドと音声による説明を自分の操作で読み進める.また自身の理解度に応じて発展的な学習や,基礎的な学習への,枝分かれしたパスで学習に取り組む. 2019年度は,昨年度までに開発した教材の資料を用いて,事前学習モデルに沿った学習手順で学生が学習を進める形式の教材を試作した.この教材では,1枚のスライドとその説明の音声を組み合わせた形式のページを基本としており,このページ内に次のスライドへ進んだり,前のページへ戻るリンクがある.さらに,そのスライドに関連した基礎的な説明ページや,発展的な学習ページへのリンクも必要に応じて配置している.学生は,読みたいページへ進むためにはリンクをクリックする必要があり,どのページへのリンクをクリックするかを能動的に判断する必要がある.この教材に対して形成的評価を実施し,ページ内のリンクの配置の見辛さや,音声の再生速度を変更できた方がいい等の意見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究にて対象としている授業のうち,「情報メディア基礎実習1」について,事前学習教材の基本的な設計と教材の説明資料を開発し,さらに事前学習モデルに沿った学習手順で学生が学習を進める形式の教材を試作した.これらを用いた形成的評価を行い,いくつか改善点が見つかった.これらの意見を参考に,事前学習教材の見直しを行い,2020年度の授業において本教材を用いた授業実践を行う予定である. また,現在の事前学習教材はWebページを基本としているが,このページにおいては,学習スライドとしてのテキストや説明のための図表等に加えて,学生にコンテンツ閲覧を促すための教員のアバター等の導入や,学生の閲覧記録の保存等も検討しており,それらを含めたWebアプリとして拡張することを予定している.そのための3DCGモデルの開発や,プログラムの試作等も始めている.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,2019年度までに設計・開発した事前学習教材およびビューワアプリとしてのWebプログラムの開発をさらに進め,コンテンツの完成を目指す. 一方,事前学数コンテンツのためのビューアプリについて,枝分かれしたパスに対応したコンテンツ提示,音声による説明に加え,活動記録(コンテンツ閲覧記録)や,学生にコンテンツ閲覧を促すための教員のアバターを提示する機能について実装する.さらに,本学習モデルに沿った事前学習コンテンツを,現在対象としている「情報メディア基礎実習1」以外にも拡張するため,事前学習モデルやWebアプリの汎用化についても検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は,授業の教材開発が中心となったことで,ビューアアプリの実際の開発に必要となる費用の支出が想定よりも進まなかった.また,Webアプリとしての教材の設計および開発の作業があまり進まず,完成した形での事前学習教材による授業実践がなかったため,そのための人件費についても,次年度以降の使用にまわされた. 教材における音声の説明について,当初はWebブラウザのテキスト読み上げ機能の使用を想定していたが,一部のWebブラウザにおいてこのサービスが終了したり,テキスト読み上げ機能を使うためのテキストの準備や調整について,市販のテキスト読み上げソフトを用いて音声ファイルを作成した方が,聞き取りやすい音声が作成でき,作成手順も容易であることから,音声読み上げソフトの大学での利用のためのライセンスを購入することを検討している.この支出をするために,費用を残している. 2020年度は,授業で利用を予定している事前学習教材において,音声読み上げソフトで作成した音声の利用のため,ライセンスの購入を予定している.さらに,授業実践における学生アシスタントのための人件費や,成果発表のための旅費等としての使用を予定している.
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