研究課題/領域番号 |
17K01149
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小柳 惠一 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (20367171)
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研究分担者 |
土屋 健 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 准教授 (90546251)
澤野 弘明 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (10609431)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 手話特徴 / 分散管理 / データ匿名性 |
研究実績の概要 |
映像から抽出された特徴に含まれている個人のプライバシ情報を匿名化する手法について検討を行った.従来の研究手法では,特定のサーバに集積させたデータから,統計的手法によって,各特徴を定量化させ, その値によって情報の開示/非開示を判断することでデータ匿名性を確保していた.しかし,この手法では,人間の視覚で認知が可能であるわかりやすい特徴は,データから検出可能であるが,本研究のようなバイナリから抽出した数値データでは,識別に高い精度を要する特徴を単純な値では表現できず特徴検出が困難である.加えて,対象となる人物が異なると同様の動作であっても数値データによる検出は困難であるといった課題がある.また,本研究当初から述べてるように,ビッグデータを対象と考えるとデータ自体を特定サーバに集積させることも現実的なアプローチとは言えない. 本年度は,これら課題を解決するために,クラウドを構成するノードの一部をユーザのデータ処理に利用するフォグコンピューティングモデルを利用した手法を検討している.フォグはユーザからのリクエストにより,クラウドからユーザの近傍にいるノードが割り当てられる.フォグ上では,各ユーザが取得したデータをこのノードにおいて処理を行う.具体的には統計データの計測,プライバシ性の高いデータを匿名化といったクラウドに送信するデータの事前処理を可能とする.本研究では関連性は低いが,テキスト情報に含まれる個人情報や,固有名詞など静的に変換, ファイル内の特徴を示す単語を削除などデータのプライバシ性,匿名性を確保することが可能となる.本提案では,導出した統計値をクラウドを介して,抽出した全統計データと合算することで,各特徴に含まれているプライバシ性を導出可能としている. また動作を特徴ごとに分類する別のアプローチとして,手話動作を手話音素の集合に分類した学習システムの開発を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年度に明らかにした分散データ管理手法のアプリケーションとして,フォグによるデータのプライバシ性の導出によるデータ匿名性保護手法を明らかにした.本年度の提案手法は,現在までに,単体でのプロトコル設計,実装が済んでおり,現在評価を行なっている.提案手法により,以降ではクラウド上におけるデータデータの匿名性は確保されていると考えることができ,クラウド上の配置による他ノードへの情報漏洩を配慮する必要はない.そのため,当初の計画で現在未達である分散データ管理におけるデータ複製管理の課題に対して,従来の本研究代表者らが検討してきた手法を適用することができると考える.そのため,当初計画で挙げたネットワークに分散する特徴データ管理に関する課題はほぼ解決したと考えている. また,提案手法の有効性についても,本研究の対象とするデータとは異なるが,同様の手法をテキスト情報を対象とした統計値に基づくwebコンテンツの特徴抽出,人工知能手法を利用した特徴抽出といった付加的な検討も進捗している. 手話動作分類に関しては,まず手作業による手話音素化についての基本的な構想,データ化を実現しており,今年度はOpenPoseによる人物骨格抽出結果を機械学習手法CNNで学習させた手話動作認識手法を開発した.機械学習の仕組みは,学習させる教師データに依存するため,個人差を含む一般的な手話動作に向かないことが明らかになった.個人差を持つデータを一般化するために,手話動作の音素化について検討を始めている.以上のことから,概ね順調に進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通りに研究は進行しており,最終年度はこれまでのデータ管理手法と連携させ,本年度提案しているデータ匿名性を連携させる予定である.これにより,本研究の目的であるユーザ動画から,手話特徴(手話音素)の動的抽出と,その匿名性保護を実現した分散データ管理基盤の実現ができる.特に,本年度に評価を行っていない分散データの複製管理の配置場所について,技術的な課題を明らかにし,必要であれば配置アルゴリズムを検討する予定である.
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