研究実績の概要 |
研究代表者の加藤は,2015年から愛知県多文化共生推進室が主催する「外国人児童生徒等による多文化共生日本語スピーチコンテスト」に審査委員長としてかかわり,外国人児童生徒ならびに,保護者,支援者らとの情報交換を行ってきた。また,分担者である大島は,小学校の教員と幼稚園・ 保育園の保育者の言語に関する意識を継続的に調査している。この調査から,保育者が視覚的補助教材や「遊び」を効果的に利用して児童らの感情に働きかけることにより,児童らの文章理解と構文力(文を読んで話す能力)の発達を促す可能性を見出した。中等・高等教育の分野では,分担者である北野が,中等高等教育機関の教員を対象として,ワークショップを企画し,教育力の支援を試みた。分担者の佐藤を中心に,国際交流イベントに参加した学生らが,グループ活動,ならびに,バディ活動に積極的に取り組むことで,単なる体験型学習を超えた,異文化理解教育の在り方について新たな提案を行っている。 この成果をもとに,個々の生徒児童の学習状況に即した指導指針をどのように設定すべきか,さらなる事例報告の収集と整理を行った。当初は,本研究グループと外国人児童生徒の支援に携わる関係者らとの公開勉強会を開催する予定であったが,コロナ感染の影響のため,研究グループだけでの情報交換会を開催するに留まった。さらに,これらの成果を2020年3月予定の香港日本語教育セミナーでも発表予定であったが,延期となった。引き続き,外国人児童生徒支援グループとの交流,研究成果の発表活動を通じて,本グループで得た知見の有用性を検討する。 今後は,外国人児童生徒の学習状況を電子ポートフォリオとして整備することで,彼らの能力獲得活動を長期的な視野から支援する。加えて,この機能を,教員,保護者,支援ボランティア,行政担当者らが広く利用できるように機能を改良し,さらに関係者間の連携をすすめる。
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