研究課題/領域番号 |
17K01166
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研究機関 | 四天王寺大学短期大学部 |
研究代表者 |
松山 由美子 四天王寺大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90322619)
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研究分担者 |
森田 健宏 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (30309017)
松河 秀哉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (50379111)
堀田 博史 園田学園女子大学, 人間健康学部, 教授 (60300349)
奥林 泰一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (60580941)
佐藤 朝美 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 准教授 (70568724)
深見 俊崇 島根大学, 教育学部, 准教授 (80510502)
中村 恵 畿央大学, 教育学部, 講師 (90516452)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 幼児教育 / メディア / タブレット活用 / 保育 / アプリケーション開発 |
研究実績の概要 |
幼児期のメディア利用が進みつつある現在、メディア利用をただ否定するのではなく、幼児にとって望ましいメディア環境、安心かつ適切なメディア利用方法を検討する必要がある。研究代表者は、幼児の育ちに適した情報の教育・保育利用について考え、幼児期の学びにふさわしく、かつ保育者も安心して活用できるメディア教材の開発が重要であると考えており、2014年度から幼稚園等の保育現場における幼児の育ちに寄与するタブレット用アプリケーションの開発に着手し、保育現場で実証実験を始めた。この研究を今後積み重ねることで、幼児の育ちや保育者の保育を支援するタブレット端末の活用とアプリケーションのあり方をまとめ、保育現場における望ましいメディア環境のあり方を、特にタブレット端末活用やアプリ開発の視点から提案する。 今年度は、幼児が保育現場で身につけることを望まれている協同性や創造性、思考力、表現力などをより豊かにするための支援を目的としたツールの必要性を明らかにした「幼稚園における幼児の学びと保育者の援助を支援する情報端末アプリケーションの開発」において開発した、幼児の育ちと保育者の保育の支援を行うためのタブレット端末アプリ「ASCA(Archives Sharing and Creating Anytime for preschool)」を通して、保育現場での多様な保育形態におけるタブレット活用における課題及び保育現場向けのアプリに必要な機能や設計の視点を整理する。また、「ASCA」そのものについても、引き続き実証実験として保育現場で活用してもらい、保育の参与観察、保育者への聞き取り調査、質問紙調査を行い、アプリの再設計・改良に必要な視点を見出す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までの保育現場でのアプリ活用において、アプリに求める機能や保育での活用方法などの保育者(保育実践者及び園長・主任等)に対する聞き取り調査及び質問紙調査は終了し、まとめることができた。しかし、今年度は、その結果を踏まえた保育アプリの改良と、OSの大きなアップデートへの対応が重なったことで、操作における不具合が頻繁に生じ、保育現場でのアプリ活用がほとんどできなかったことが原因である。そこで、実証実験をしていただく保育現場ではiPadのカメラ機能で写真を撮影することで保育を続けていただき、研究者側でサーバ用パソコンに写真を保存することで保育に支障ないよう後で実験ができるよう調整した。また、アプリに写真一括アップロード機能を設けることとし、撮りだめた写真も後で追加しASCAで扱うことができるような設計を追加した。 さらに、次年度以降行う予定であった研究計画2「日本や諸外国で既に教育現場用、親子向けまたは幼児向けと称されて利用されているアプリの調査、及び、タブレットを活用した幼児教育についての調査を改めて行い、知見を得る。」のうち、分担研究者の協力を得て、フィンランドの保育研究者と研究交流する機会をもつこととした。内容は、1)フィンランドの保育現場でのタブレット活用場面の見学、2)現在のフィンランド(ユヴァスキュラ大学)での保育とメディアの研究の動向、3)ASCAについての意見や改良点の聞き取り調査、である。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、アプリを実際に活用した先生方やフィンランドの研究者から得た機能や操作性についての調査結果をまとめた機能を実装した状態になるよう打ち合わせを重ねながら開発業務を進める。今年度1学期中には昨年度の保育現場での写真データを全てASCAに取り込み、保育者がASCAをアセスメントの支援ツールとして有効に活用できるか早急に検討を行う。 第2に、今年度の年長児が既に撮影した写真データも別途取り込みながら、今年度の保育計画・実践とアセスメントが連動する中にASCAがどう位置づくかを年度末に実証する。 第3に、研究計画2における日本や諸外国でのタブレット活用の実態調査として、韓国の保育現場におけるタブレット活用の見学と、韓国の保育研究者との意見交換や交流について計画し、今年度実施する。日本についても、タブレットを活用した保育を行っている(または、行う予定がある)保育現場と連携し、見学及びASCAの活用可能性について意見をいただいたり、実証実験を行う。 最後に、アプリの機能の精査や操作性の向上について検討する。特に、日本保育学会での発表を通した意見交換の場では、「幼児が自らつくるポートフォリオ」としての可能性と「保育者の保育アセスメントを支援するツール」としての可能性が高く期待されているため、この2点をより保育現場で支援することができるようなツールとして活用できるよう、現場での実証実験での活用状況を調査しながら検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリ開発費として計上していた分が、必要な機能の追加と大きなOSのアップデート対応と重なったため、必要な費用が増えることが明らかになった。そこで、次年度以降のアップデートへの対応に予算をできるだけ充てることができるよう次年度使用額に回すこととした。 また、アプリの不具合により、実践協力していただいている実践園への訪問がかなり減った。そのため、旅費は次年度以降本格的に実践するための費用として繰り越した。
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