研究課題/領域番号 |
17K01171
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
神里 達博 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (10508170)
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研究分担者 |
細野 光章 岐阜大学, 研究推進・社会連携機構, 教授 (30525960)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ELSI / 情報工学 / 生命科学 / テクノロジー・アセスメント / STS |
研究実績の概要 |
令和一年度は、これまでの国際学会におけるフィードバックや、文献研究などをベースに、生命科学と情報工学の境界領域におけるELSI的課題について、さらに検討を進めた。その結果、このような学際領域における参加型テクノロジー・アセスメント(pTA)を行うための新しい方法論として、"Participatory TA in two stages model"(二段階参加型TAモデル)を構想した。 この新しい方法論について議論を行うため、欧州を中心としたELSIならびにTAにかかわる研究者や実務家が集う、"The 4th European Technology Assessment Conference"に参加した。これは2019年11月にスロバキアのブラティスラバで開かれたものだが、そこでは、この新しいTAのモデルについて、ポスター発表を行い、参加者から有益な示唆を得たところである。 また、本プロジェクトの派生的研究として、2件の学会発表を行った。一つは、情報工学に関するELSIの具体例として、日本の近年のAI政策に関するSTS的分析を行い、科学技術社会論学会(11月、金沢工業大学)にて発表を行った。もう一件は、研究技術計画学会(10月、政策研究大学院大学)におけるもので、やはり本プロジェクトの関連研究として、学術システムのエコロジーに関する研究発表を行った。 また、内閣府などが進めている日本政府の研究プロジェクト「ムーンショット」に関する国際シンポジウムが2019年12月東京で行われ、この中で、ムーンショット型研究におけるELSI的側面について検討する分科会が設けられたが、研究代表者はその分科会の委員を委嘱され、一連の議論に参加した。これにより、本プロジェクトの成果の一部が、具体的な政策的課題の解決に生かされることになったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、これまでの文献研究や、欧米の研究者からのフィードバックを踏まえつつ、新たなフレームワークの構築を進めた結果、学際的領域におけるELSI的課題の検討のための新しい方法論として、「二段階参加型TAモデル」を提案することができた。これは、当初の本プロジェクトの中心的な達成目標である。したがって、基本的に研究は適切に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に本研究の具体的な成果として新たに開発され、国際カンファレンスにて提案を行った「二段階参加型TAモデル」について、その有効性を具体的に検証するための検討を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症が急速に拡大したことなどから、当初予定していた出張等を中止にせざるを得なくなったことなどから、使用額に差が生じた。最終年度は、「二段階参加型TAモデル」の有効性の検証を行うための検討を進めていくこととする。
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