研究実績の概要 |
2019年より英国エジンバラ大学との間でRRIの日欧比較の共同研究をはじめた。2019年3月にまず日本側がエジンバラを訪問し、RRIについてのそれぞれの研究蓄積を共有し、9月のニューオーリンズでの4Sで研究成果を東アジアSTSジャーナルの特集号としてまとめることで合意した。2020年3月にエジンバラチームが日本訪問の予定であったが、新型コロナウィルス感染症の蔓延のため来日がかなわず、以後オンライン会議とメールで議論を続けている。共同研究は6つのチーム(History, Space, Pubic-engagement, Identity, Case-studies, Pedagogy)に分かれて作業をしている。 申請者はこのHistoryのチームの世話役を務め、1930年代から2020年までの「科学者の社会的責任論の日米欧比較」の論文の準備をすすめている。まず私が戦後1945年から1979年までの日本の責任論のレビュー(湯川・朝永のパグウォッシュ会議での活動と平和運動から1970年代の環境問題の勃興まで)をエジンバラ組に送った。エジンバラ組はそれに触発されて1930年代のバナールとポランニの論争、戦後直後の「純粋科学」論(戦争から距離をとるための)、1960年後半の新左翼運動、1980年代英国ボドマーレポートによる科学コミュニケ―ションの奨励について書き込みを行った。2020年9月にオンラインで6つのチームはミーティングをおこない、チーム間で作業中の論文へのコメントをした。これらのコメントをもとに各グループは論文改訂作業をおこなっている。 また、申請者は日本におけるRRIの現状分析を2020年8月の4S/EASST国際会議(オンライン)で発表した。さらに、内閣府のムーンショットプログラムのうち、JSTに配分された4つの目標のELSI検討委員会に所属し、検討をすすめている。
|