研究課題/領域番号 |
17K01178
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
水野 祥子 駒澤大学, 経済学部, 教授 (40372601)
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研究分担者 |
谷 祐可子 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40326707)
大田 真彦 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (80752279)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イギリス帝国 / ネットワーク / 知の生産 / ポストコロニアル / インド / ミャンマー / 森林 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、イギリス帝国において熱帯林学の中心であった英領インドの森林管理官と現地住民との遭遇によって生みだされた知が、ポストコロニアル期の森林管理をめぐる知と実践にいかなる影響を及ぼしたかを明らかにすることにある。第二次世界大戦後、イギリス帝国の林学ネットワークの再編に伴い、熱帯植民地で展開した林学が再構築されていくプロセスを地域社会、国家、帝国・コモンウェルス、国際機関という四つの枠組みから考察する。まず、ミャンマーで実地調査を行い、第二次世界大戦後の主要な森林プロジェクトを抽出した。各プロジェクトの概要と立案過程/背景を分析し、タウンヤ式を含めた造林方法および伐採・搬出方法について取材した。また、林学専門誌Indian Foresterにおいて侵略的外来種ランタナがどのように取り上げられてきたかを検証するとともに、インド・カルナータカ州で実地調査を行い、NGOや住民によるランタナの利用状況を確認した。 一方、大戦後のイギリス帝国林学ネットワークの再編については、オクスフォードの帝国林学研究所のAnnual ReportやInstitute Paper、および帝国林学協会の機関誌Empire(後にCommonwealthと改称) Forestry Reviewの分析を行い、インド森林局に勤務していたイギリス人森林管理官のキャリア・パスを追うとともに、新たに参入したインド人の森林管理官が帝国(コモンウェルス)林学ネットワークにおいてどのように位置づけられるのかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミャンマーの現地調査では、1970年代以前の森林プロジェクトの概要を把握することが資料的に困難であることが判明した。また、インド・カルナータカ州の森林局ではランタナの順応的管理が政策課題になっていないことが明らかになり、当初の見通しを修正する必要が出てきた。一方、イギリス帝国・コモンウェルス関連の一次資料の分析に予想以上に時間がかかり、未刊行資料の収集および分析を行う余裕がなかった。
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今後の研究の推進方策 |
年度末の合同研究会において、研究成果の共有と次年度以降の各研究へのフィードバックが効果的に行われたため、それをもとに各自の研究を進めていく。ミャンマーとインドでは初年度の予備調査の結果を踏まえて、住民、森林局、NGOへのインタビューと資料の分析を行う。また、戦後の林学ネットワークの再編に関しては、帝国・コモンウェルスと同時に、FAOなどの国際組織および国際会議も含め、一次資料を検討していく。 さらに、次年度には研究成果の中間報告として海外共同研究者のB.Bennettを招聘し、国際ワークショップを開催する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インドまでの出張期間や必要経費の観点から、当初予定の30万円全額は必要なくなり、次年度に繰り越して活用することとした。
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