研究実績の概要 |
「幕末・明治初期における気象観測の実態および観測ネットワーク構築過程に関する研究」は、科学史研究者と気象学者が意見交換しながら、国際気象学史委員会のネットワークを活用して国内外の研究者と交流し、日本の気象学史を再検討するとともに、日本の文脈における気象学史を国際的に発信することにより、地球規模の気象学史にも新たな知見をもたらすことを企図するものである。 3年目の2019年度は、下記のとおり実施した。 1.先行研究については、幕末・明治初期に気象観測を行った御雇米国人を中心に検討した。東京大学、札幌農学校、開拓使の気象観測に関しては、東京大学『学芸志林』、Kaitakushi, First Annual Report of Sapporo Agricultural College(1877)、札幌管区気象台編『札幌気象百年史』(1976)、渡辺正雄『お雇い米国人科学教師』(1996)、John M. Maki, A Yankee in Hokkaido(2002)等を整理・検討した。 2.海外調査を実施した。ワシントンDCのスミソニアン協会アーカイブス(Record Unit 60)にて気象学関連資料を調査した。その際、研究協力者Pamela Henson博士と意見交換を行った。 3.5月に日本科学史学会年会(於岐阜大学)にて御雇米国人ヴィーダーに関する口頭発表を行い、『東海の科学史』にヴィーダーに関する論文が掲載された。9月に内モンゴル大学(中国、内モンゴル)にてスミソニアン女性気象観測者に関する講演を行った。またInternational Commission on the History of Meteorology(ICHM)の国際ジャーナルに投稿した。
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