明治後期から昭和初期に活躍した魚類学者・田中茂穂が残した書簡や論文原稿等を含む文書資料の整理及びデジタル化を行った.総数15004枚のデジタル画像を閲覧しながら順に番号を付したところ, 4910件の資料が含まれることが分かった.資料の一部を調査することにより,東京大学の教官という身分でありながら,他の研究機関はもとより,小中学校の博物教師,地方の水産試験場職員,動物採集人といった多彩な面々と交流していたことが分かった.資料には著名な生物学者からの手紙なども多数含まれ,明治以降の動物学黎明期の動向を探る材料として,文書コレクションの有用性を評価した.
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