研究課題/領域番号 |
17K01196
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
川久保 善智 佐賀大学, 医学部, 助教 (80379619)
|
研究分担者 |
大野 憲五 佐賀大学, 医学部, 助教 (00635568)
竹下 直美 佐賀大学, 医学部, 技術職員 (30770094)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 復顔 / 古人骨 / CTデータ / 日本人 / 東アジア人 |
研究実績の概要 |
日本列島住民を含む東アジア人の頭蓋から生前の顔貌を復元する「復顔」を行う際に指標となる、形態学的な基礎データを収集し、新しい手法を構築することが本研究の目的である。これらの復顔法は遺跡から出土した古人骨の復顔の他、身元不明死体の個人識別など、法医学の分野においてもそのまま応用が可能である。本研究では、佐賀大学附属病院の放射線科に蓄積されているCTデータをもとに、北部九州を中心とした現代日本人の様々な年齢、性別の頭部で、軟部組織の厚さやさらにCTの利点を生かした表面形状と骨の詳細な対応関係のデータを収集し、従来の復顔法の再検証や新しい復顔法の構築を模索した。従来の復顔法は主に欧米で開発されてきたため、資料がヨーロッパ系やアフリカ系の人びとに偏っていたが、これらの方法がそのまま東アジア人にも応用できるのかを見極めるというのも本研究の目的の一つであった。例えば、眼球が眼窩の骨格に対してどの程度突出しているのかを決める方法は、顔面の平坦性が欧米人と東アジア系住民(現代日本人も含まれる)では大きく異なるが、そのまま適用できるのかという問題が未検証のまま残されてきた。欧米の復顔法に関する書籍では、眼球の突出について曖昧な記述が多いものの、大方、眼球の再突出部が含まれる矢状面において、眼窩上縁と眼窩下縁を結ぶ点より数mm眼球が突出すると説明されている。しかし、今回、CTのDICOMデータを三次元再構築して日本人標本で検証した結果、8 mm近く突出している可能性が示唆された。即ち、従来の復顔法を東アジア系の人びとに応用すると眼球が実際より奥まった位置に設定されてしまう可能性が有るという事である。また、鼻尖や鼻幅、鼻根部など、鼻の形状についても、株式会社メディックエンジニアリングのHBM-RUGLEというソフトウェアで、相同モデルを応用して顔面骨格から復元するという新しい方法を試みた。
|