古代ガラスにはSrが100~500 ppm含まれ、地中海世界の出土品を中心にSr同位体比による産地推定が行われている。本研究では、日本出土のガラス製遺物のSr同位体比分析を実施し、生産地の特定を試みた。特に、地中海周辺地域で生産された可能性の高い「ナトロンガラス」(Group SI)と、主要成分はナトロンガラスに類似するが、微量成分や製作技法から判断すると南~東南アジア産と考えられる「ナトロン主体ガラス」(Group SIV)を分析した。その結果、Group SIは確かに地中海周辺地域で生産されたナトロンガラスであるが、Group SIVは真正のナトロンガラスではないことが確認された。
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