研究課題/領域番号 |
17K01212
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
金山 喜昭 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (90350206)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 指定管理者制度 / 指定管理館 / 公立博物館 / 財団法人 / NPO / 企業 / 学芸員給料 |
研究実績の概要 |
「日本の博物館総合調査研究」(研究課題番号:25282079)の「指定管理者制度」で調査した、NPOや企業が運営する公立博物館を踏まえて、公設財団法人や財団法人が運営する公立博物館を対象に、その運営状況を分析することにより、公立博物館に導入されている指定管理者制度を総合的に検討し、指定管理館の経営を適正化するために必要な措置を提言することを目的にする。そのために、「日本の博物館総合調査研究」のデータを用いて財団法人の指定管理館についてデータの確認作業を行い、そのうちの館について訪問調査の対象とするとともに、調査地のバラツキを補正して全国規模になるように追加したリストを作成し、質問シートを作成して20館を訪問調査した。 その結果、公設財団の指定管理館は、業務委託の延長上で指定管理者になっており、業務委託当時のまま、博物館の使命を見直さず、事業展開についてもほとんど変わらないところが多いことが判明した。またNPOや企業の指定管理館の学芸員の給与は公務員よりも、著しく低額であることが問題なっているが、財団館の場合には、設立した地方公共団体の一般職の給与に準じた取り扱いになっている。だが、正規職員の昇給分などの人件費の負担増を補うために、正規職員の退職後には非正規職員を採用して財務上の調整をはかるために、人材の安定的な確保や育成ができずに、組織が弱体化しているところが多くなっている。あるいは、事業費の削減によって補われているため、特別展や企画展などの普及事業も縮小化している。 そのため、ミッションの策定、運営費、人員などの経営面、コレクション管理などの基礎機能や普及事業について、直営館等とも比較するために20館を訪問調査した。その結果、人員や経費の削減化は直営館でも行われているところが多く、コレクション管理についても指定管理館ばかりでなく直営館でも同様の問題を抱えていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
勤務先のサバティカル(国内研究)により調査時間を確保することができたため、自治体が出資して設立した公設財団法人の指定管理館を対象にしたヒアリング調査については順調に進めることができ、今年6月に開催する全日本博物館学会で中間報告として研究発表する予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、指定管理館等の現地調査を継続して行うとともに、「日本の博物館総合調査研究」(平成25年度~平成27年度)の基礎データを用いた量的分析や、シンポジウムやワークショップを行う。そして、研究成果については、調査やシンポジウムを踏まえて、その報告と研究成果をまとめた成果報告集を刊行する。また、研究成果については適宜学会等で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の清算が年度をまたいだため今年度経費に計上されていないが、調査旅費として申請済みである。
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