自然史標本が次世代にまで受け継がれるべき「自然財」なら、これを取り扱い守っていく人材も適正な形で養成され、情報・技術の継承がなされるべきだろう。 本研究では、①地域博物館を結ぶネットワークの確立と標本に関する技術情報を体系化すること、②技術情報を継承するための仕組みを開発することを最終目標とした。令和3年度は過去4年間の総まとめにあたるので、調査を継続しながら、研究成果の発表準備を行なった。具体的調査は以下の通りである。 ①まとめのシンポジウム開催:最終年度には、館内の博物館施設を対象に状況を把握、記録し、問題点を解決するための情報交換を行う予定であった。対面での開催はできなかったが、オンラインによって、国内外の先進的試みの紹介、研究協力者等によるこれまでの活動のまとめなどの紹介を行なった。シンポジウムは、神奈川県内のみでなく、広い範囲から多くの参加者を得ることができた。また、動画記録を編集し、関係者限定で、公開した。 ②標本作製マニュアルの整備:標本作製マニュアル整備のため、動画や静止画の撮影をおこなった。現在、編集作業中であるが、完成後は、博物館施設や大学生等に配布する予定である。また、作業時に卓上に広げて参照できるダイジェスト版のマニュアル(計測、標本作製他)を考案、作成した。
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